武田薬品工業、大阪市淀川区十三の「大阪工場」の敷地内に血漿分画製剤を生産する工場を新設する。
投資規模は1000億円規模で、生産能力を現在の40万トンから5倍にあたる200万トンに増強すし、アジア最大規模となる。2030年頃に稼働する予定。
引用 武田薬品工業
武田薬品工業 大阪工場 概要
開設 | 1915年 |
所在地 | 大阪市淀川区十三本町2丁目 |
敷地面積 | 160,000㎡ |
従業員(2006年時点) | 1,100名 |
施設(2006年時点) | 固形製剤、治験薬、リュープリン |
アクセス | 阪急「十三駅」西口徒歩5分 |
コメント
武田薬品工業は、2011年に大阪工場の研究部門とつくばの研究部門を統合し、神奈川県藤沢市の旧湘南工場跡地に「湘南研究所」を開設した。
大阪工場では、1990年代に消化性潰瘍治療薬「タケプロン」、前立腺がん治療薬「リュープリン」、高血圧症治療薬「ブロプレス」、糖尿病治療薬「アクトス」の4つを生産開始し、業績が拡大、2000年頃には、現預金約2兆円を保有するに至った。
しかし、2011年に「湘南研究所」開設した後、武田薬品工業の業績は急速に悪化、2014年には営業赤字に転落した。
「小野薬品」オプジーボ
2014年、大阪の薬品会社「小野薬品」が開発した抗がん剤「オプジーボ」が承認された。
従来の抗がん剤は、がん細胞を攻撃するが、「オプジーボ」は免疫細胞ががん細胞を攻撃できる環境を作り出す画期的な薬として世界的にも注目され、2018年、開発者の本庶佑氏がノーベル医学・生理学賞を受賞した。
「塩野義製薬」ゾコーバ
2022年、大阪の薬品会社「塩野義製薬」が開発したコロナ治療薬「ゾコーバ」が緊急承認された。
湘南研究所
「湘南研究所」は、2011年の開設から数年で2度の大規模なリストラを実施し、研究員数は当初の3分の1に減少、現在は「湘南ヘルスイノベーションパーク」(湘南アイパーク)と改称している。
武田薬品工業の自社の研究所は縮小し、その空いたスペースに外部の会社40社が入居する事態になっている。
2023年 大阪工場に1,000億円投資
2018年時点では、大阪工場のすべての土地を売却することも検討していたが、一転、大阪工場に1,000億円の新工場を建設することになった。
以下は過去記事
「武田薬品大阪工場」 大阪市淀川区十三(出典 大阪府)
武田薬品工業は、阪急十三駅西側の大阪工場敷地16haの約4割(約6ha)を、2019年夏にも売却する方針を固めた。
将来的には大阪工場の全敷地(16ha)の売却を視野に入れる。
武田薬品工業は、アイルランド製薬大手「シャイアー」を約7兆円で買収する予定で、財務内容の改善を図る意図があると予想される。
売却先は「阪急阪神ホールディングス(HD)」が関心を示している。
武田、大阪工場敷地4割売却へ…1915年開設 : 読売新聞
https://t.co/6I5kVdTYFg— kansai sanpo (@KansaiSanpo) 2018年8月4日
武田薬品工業 大阪工場
武田薬品工業大阪工場は1915年に開設され、敷地面積約160,000平米と大規模だが、2011年、研究部門は神奈川県湘南研究所に移転し、大阪工場で作っていた固形製剤は山口県光市の光工場で生産し、治験薬部門は武州製薬(埼玉県)に移管する。
武田薬品工業 大阪工場(十三)の業績
- 1987年 「C-70工場棟」が大阪工場に竣工した。原材料の供給から製剤、小分・包装、製品の出荷にいたるまでの全ラインをコンピューターによって運転・制御し、自動化を実現した画期的な工場
- 消化性潰瘍治療薬「タケプロン」1992年 大阪工場で生産開始
- 前立腺がん治療薬「リュープリン」1994年 大阪工場で生産開始
- 高血圧症治療薬 「ブロプレス」1997年 大阪工場で生産開始
- 糖尿病治療薬 「アクトス」1999年 大阪工場で生産開始
これらの4つの治療薬の売上貢献し武田薬品工業は2000年頃には現預金約2兆円を保有するに至った。
報道によると、今回売却するのは2011年に神奈川県藤沢市の湘南研究所に移転する前まで新薬開発の拠点としていた工場敷地の南側約6ha。
大阪工場の北側敷地では、「アリナミンV」などの研究・生産と、抗がん注射剤「リュープリン」の生産をしていると見られる。
しかし、その「リュープリン」も災害対策として生産設備を分散する方針で、武田薬品工業の光工場(山口県)でも「リュープリン」を生産する。
将来的に、武田薬品工業は他の工場へ全面移管し大阪工場の敷地16haの全部を売却する可能性もある。
武田薬品工業「大阪工場」(2018年7月)
工場の敷地は約16万㎡と巨大で、ぐるっと一周すると1.6km以上ある。実際には民家や高架道路などがあり、単純に一周はできない。
武田、大阪本社ビル売却へ 創業の地・道修町 https://t.co/Mt2uUFn8UK
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) 2018年7月5日
武田薬品工業は、大阪本社ビル(大阪市道修町)と周辺ビルを約600億円で売却する。
これは、アイルランド製薬会社「シャイアー」を7兆円で買収するため、財務内容を改善するためと言われる。
「武田薬品工業大阪工場」の研究部門、一部生産部門、治験部門が移転しており、今後が注目されていた。
阪急十三駅から武田薬品工業大阪工場まで
阪急十三駅西改札口
十三の飲食店街を通る
高架道路の下を通過する
阪急神戸線の線路に沿って歩く
阪急十三駅西改札口から徒歩5分~7分くらいで到着する
武田薬品工業大阪工場前の阪急神戸線線路
武田薬品工業大阪工場の前は阪急神戸線があり、再開発となれば、駅を新設することは可能だが、十三駅から近すぎるので地上駅は設置されないと予想される。
阪急十三駅~新大阪間に建設される「阪急新大阪連絡線」の十三駅は地下駅になると予想されるので、地下で駅と直結することはできる。
工場の敷地は16haと大きいが、高架道路が真ん中にあり、東西に分断されている。
今まで開発が遅れていた十三だが、今後、再開発となれば、大きく変化する予感がする。