「値上げは消費者にとっては痛いが、企業の利益はどれほど増えるのか?」
今回は、売上100億円・利益10億円の企業を例に、値上げ3%がなぜ利益10%増につながるのかを数字で解説します。
食料品価格は、家計の実感としては約20%程度値上がりしていると感じられます。
しかし、本記事では政府発表のインフレ率を用います。
2025年11月の全国消費者物価指数(CPI)は前年比+3.0%であるため、ここではインフレ率(値上げ率)を3%として試算します。
また、この3%の値上げの内訳については、
- 2%分は原材料費や人件費などの経費増加
- 残り1%分が企業の利益増加
と仮定して話を進めます。
| 値上げ前 | 値上げ後 | |
| 売上高 | 100億円 | 103億円 |
| 経費 | 90億円 | 92億円 |
| 利益 | 10億円 | 11億円 |
企業の売上高が100億円から103億円(+3%)に増加した場合、そのうち2億円分は経費増加に充てられ、残り1億円が利益の上積みとなります。
その結果、利益は10億円から11億円へと1億円増加し、利益の増加率では+10%となります。
2025年のEPS(一株当たり利益)は約2,600円でしたが、2026年は約2,900円と見込まれており、約11%の増加となります。
この水準のEPS成長が実現すれば、企業の収益力は着実に向上していると評価でき、株価の下支え要因となる可能性があります。
特に、売上の拡大だけでなく利益率の改善を伴う成長であれば、中長期的な企業価値の向上につながると考えられます。
| 年 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|
| EPS(一株利益) | 約2,600円 | 2,900円 |
| PER15倍 | 39,000円 | 43,500円 |
| PER20倍 | 52,000円 | 58,000円 |
日経平均株価のPER(株価収益率)は、長らく15倍前後が適正水準と言われてきました。その観点から見ると、2026年1月時点で約18.6倍という水準は、やや割高と評価することもできます。
しかし、株式市場は常に「将来の利益」を先取りして動きます。
2026年12月頃には、2027年分の予想EPS(1株利益)である約3,200円を基準に評価される可能性が高いと考えています。
このEPSにPER20倍を当てはめると、
- 3,200円 × 20倍 = 64,000円
となり、日経平均が64,000円水準まで評価されるシナリオも十分に想定できます。
私個人としては、2026年の日経平均株価のレンジを43,500円~64,000円と予想しています。
仮に、株価が下限である43,500円まで下落した場合、水準によっては約20%の下落となります。
下落リスクと投資判断
たとえば、
- 100万円を株式に投資していた場合
- 20%下落すると → 含み損は20万円
となります。
これは決して小さな金額ではありません。しかし、株式投資に下落リスクがあるのは当然であり、ノーリスクで投資利益を得ることは不可能です。
一方で、リスクを避けて現金だけを保有すれば安心かというと、そうとも言い切れません。
インフレが続く環境では、現金は実質的に目減りしていきます。
つまり、
- 株式を持てば「価格変動リスク」
- 現金を持てば「インフレリスク」
というように、どちらを選んでもリスクは存在するのです。リスクをゼロにすることではありません。
「インフレによる資産の目減りを受け入れるのか」それとも「株式の価格変動リスクを受け入れて利益を狙うのか」という二択です。
結局、どちらを選んでもリスクはあります。
