大阪府の泉佐野市と泉南市が、市町村合併を視野に入れた検討を始めることが分かりました。
2027年1月にも合併に関する研究会を発足させ、近隣自治体にも参加を呼びかける方向です。
背景にあるのは、人口減少や高齢化によって、将来的に自治体単独で行政サービスを維持することが難しくなるとの懸念です。
さらに、大阪府が目指している「副首都・大阪」との関係も重視しています。
泉州南地域の自治体再編が実現すれば、関西国際空港を中心とする大阪南部の行政・経済圏にも影響する可能性があります。
ただし、「田尻町」の参加については報道では言及されていません。
まず、合併を検討する2市を比較します。
| 項目 | 泉佐野市 | 泉南市 |
|---|---|---|
| 人口 | 約10万236人 | 約5万6,107人 |
| 面積 | 約56.5㎢ | 約48.0㎢ |
| 位置 | 大阪府南西部 | 大阪府南西部 |
| 主な鉄道 | JR阪和線・南海本線 | JR阪和線・南海本線 |
| 主な特徴 | 関西国際空港、りんくうタウン | 関西国際空港南側、りんくう・泉南地域 |
| 海外・空港との関係 | 関西国際空港の玄関口 | 関西国際空港に近接 |
| 現在の市制 | 1948年 | 1970年 |
人口は2025年10月時点の国勢調査による数字として報じられており、泉佐野市は約10万人、泉南市は約5.6万人です。
単純合算すると、約15万6,000人規模の自治体になります。
泉佐野市は関西国際空港の玄関口として、りんくうタウンなど国際交流・観光・MICE関連の機能を持っています。
一方、泉南市は関西国際空港の南側に位置し、海岸部や農業、観光などの地域資源を持っています。
両市は隣接しており、南海本線やJR阪和線などの交通ネットワークでもつながっています。
最大の理由は、人口減少への対応です。
泉南市の人口は減少傾向にあり、2015年から2025年までの10年間で約1割減少したと報じられています。
人口が減少すると、
- 税収の減少
- 高齢者福祉需要の増加
- 公共施設の維持
- 道路・上下水道などインフラ更新
- 職員の確保
- 行政サービスの維持
などが課題になります。
泉佐野市と泉南市は、こうした将来的な行政運営の課題を踏まえ、自治体の規模を大きくすることも選択肢として検討する考えです。
今回の合併検討は、突然出てきたものではありません。
2025年6月には、泉佐野市、泉南市、阪南市、熊取町と大阪府による「泉州南未来像研究会」が設置されています。
この研究会では、人口減少や高齢化を前提に、3市1町の将来像や行政サービスのあり方について研究しています。
さらに泉佐野市は、自治体合併も含めた有効な手段について研究を進める方針を示しています。
つまり、
広域連携 → 行政サービスの共同化 → 将来的な自治体合併
という流れも選択肢として浮上しているわけです。
今回報じられた新しい動きでは、泉佐野市と泉南市が2027年1月にも合併に関する研究会を発足させ、近隣自治体にも参加を呼びかける方向です。
ここで重要なのは、「2市の合併が決定したわけではない」という点です。
今後の研究会で、
- 泉佐野市と泉南市の2市合併
- 阪南市などを加えた広域合併
- 熊取町など周辺自治体との連携
- 合併せず広域行政を進める
といった複数の選択肢が検討される可能性があります。
実際、大阪府は2026年9月にも「泉州南未来像研究会」を開催し、泉佐野市、泉南市、阪南市、熊取町の3市1町で行政サービスのあり方などを引き続き検討しています。
仮に泉佐野市と泉南市が合併すれば、人口は単純合算で約15万6,000人になります。
大阪府内でも比較的大きな自治体となり、南大阪の新たな拠点都市になる可能性があります。
合併後のイメージ
| 項目 | 2市合併後 |
|---|---|
| 人口 | 約15万6,000人 |
| 面積 | 約104.5㎢ |
| 関西国際空港 | 近接 |
| 鉄道 | 南海本線・JR阪和線 |
| 主な拠点 | 泉佐野駅、りんくうタウン、泉南地域 |
| 特徴 | 空港・観光・商業・住宅・農業 |
特に注目されるのが、関西国際空港との一体的な地域づくりです。
泉佐野市は空港関連産業やりんくうタウンなどを抱えており、泉南市と一体的にまちづくりを進めることで、空港周辺の観光・物流・国際交流などを広域的に考えやすくなる可能性があります。
今回の構想で特徴的なのが、大阪府の副首都構想との関係です。
大阪府は2026年2月に「大阪の副首都構想」を取りまとめ、副首都としての大阪のあり方や国に求める措置などを整理しています。
大阪府は副首都として、
- 経済成長
- 首都機能のバックアップ
- 都市基盤の強化
- 広域行政
- 防災
などを重視しています。
泉佐野市・泉南市側としては、自治体の規模を大きくすることが地域の機能強化につながるとして、大阪府に対して財政支援などを求める考えです。
つまり今回の合併構想には、
「人口減少対策」だけでなく「副首都・大阪を支える南大阪の拠点形成」
という側面があります。
合併が実現した場合、いくつかの効果が考えられます。
① 行政コストの削減
市長、副市長、議会、管理部門などを統合することで、長期的には行政運営の効率化が期待できます。
また、行政システムや施設などを共同化することで、重複投資を減らせる可能性があります。
② 職員不足への対応
人口減少が進むと、自治体では職員確保も課題になります。
自治体の規模を大きくすることで、専門職員を確保しやすくなる可能性があります。
③ 関西国際空港を核とした成長戦略
泉佐野市と泉南市を一体的に考えることで、
- 空港
- りんくうタウン
- 観光
- ホテル
- 商業
- 物流
- MICE
- 国際交流
などを広域的に組み合わせた地域戦略を立てやすくなります。
④ 防災・インフラ対策
南海トラフ地震や台風、高潮などを想定した防災対策についても、行政区域を越えた計画を立てやすくなります。
⑤ 南大阪の拠点性向上
人口約15万6,000人の自治体になれば、単独自治体としての規模が大きくなります。
大阪市や堺市とは異なる、関西国際空港を中心とする南大阪の拠点都市という位置づけを強めることも考えられます。
合併にはメリットだけでなく、解決すべき問題があります。
市役所をどこに置くのか
最大の問題の一つが新市役所の位置です。
現在の泉佐野市役所と泉南市役所のどちらを本庁舎にするのか、新庁舎を建設するのか、旧庁舎を支所として残すのかなどを決める必要があります。
新市の名称
「泉佐野市」を残すのか、「泉南市」を残すのか、それとも新しい市名にするのか。
市名は地域住民のアイデンティティーにも関係するため、議論が難しくなる可能性があります。
行政サービスの統一
ごみ収集、福祉、子育て、公共施設、各種料金など、自治体ごとに異なる制度を統一する必要があります。
地域間格差
合併後に泉佐野側や泉南側の一方に公共施設や投資が集中すれば、地域間の不公平感が生じる可能性があります。
住民の理解
最終的には、住民が合併のメリットと負担を理解したうえで判断できる環境づくりが重要になります。
現時点では、具体的な合併期日は決まっていません。
今後は、おおむね次のような流れが想定されます。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025年6月 | 泉州南未来像研究会を設置 |
| 2026年 | 3市1町で将来像・行政サービスを研究 |
| 2026年10月 | 泉州南未来像研究会を継続 |
| 2027年1月ごろ | 泉佐野市・泉南市を軸とする合併研究会を発足する方向 |
| 2027年以降 | 合併のメリット・課題などを研究 |
| 今後 | 近隣自治体への参加呼びかけ |
| 将来 | 法定協議会設置などを検討 |
| さらに先 | 合併協議・議会議決など |
重要なのは、2027年1月の研究会発足=合併決定ではないということです。
実際に合併する場合には、さらに多くの手続きと住民・議会の合意形成が必要になります。
今後注目したいのが、阪南市と熊取町です。
現在の「泉州南未来像研究会」は、
泉佐野市
泉南市
阪南市
熊取町
の3市1町で構成されています。
そのため、今後の議論によっては、
泉佐野市+泉南市
だけではなく、
泉佐野市+泉南市+阪南市+熊取町
という、より広域的な自治体再編が議論される可能性もあります。
ただし、現時点で4自治体の合併が決まっているわけではありません。
今回の動きは、南河内地域でも自治体の将来像を検討する動きが進んでいることと合わせて見ると興味深いところです。
大阪府では、人口減少や高齢化を背景に、複数の地域で、
「現在の自治体を維持するのか」
「広域連携を進めるのか」
「合併するのか」
という議論が始まっています。
泉州南地域でも、2025年から3市1町による将来像の研究が始まっており、今回の泉佐野市・泉南市の動きは、その議論をさらに一歩進めるものと見ることができます。
具体的には、2025年7月、大阪府の南河内地域に位置する2市2町1村
- 羽曳野市
- 大阪狭山市
- 太子町
- 河南町
- 千早赤阪村
- 大阪府
は、急激な人口変動の中、様々な行政課題に対応し、将来にわたって持続的かつ安定的に住民サービスを提供できるよう、人材、財源、施設等の限られた資源を地域として有効に活用し、共同で行財政改革や公民連携、さらなる広域連携に取り組むとともに、選択肢の一つとして、市町村合併の調査及び研究を行うなど、将来のあり方等について幅広い検討・議論を行い、もってこの地域のさらなる発展・成長に資することを目的として、南河内基礎自治機能充実強化協議会を設置しています。
泉佐野市と泉南市が、2027年1月にも合併に関する研究会を発足させる方向となりました。
背景には、
- 人口減少
- 高齢化
- 行政サービス維持
- 職員確保
- 財政基盤
- 関西国際空港を核とした地域成長
- 副首都・大阪との連携
があります。
仮に2市が合併すれば、人口約15万6,000人、面積約104㎢の新しい自治体が誕生します。
さらに、現在の泉州南未来像研究会には阪南市と熊取町も参加しているため、将来的には2市を超えた広域連携・自治体再編に発展する可能性もあります。
ただし、現時点ではあくまで「合併を視野に入れた検討」の段階です。
今後の焦点は、
「2市合併になるのか」
「阪南市・熊取町も加わるのか」
「合併せず広域連携にとどまるのか」
の3点です。
関西国際空港を中心とした大阪南部の都市構造が今後どのように変わるのか、注目される動きです。

