
池田泉州ホールディングス(HD)と滋賀銀行が、経営統合に向けた検討を進めていることが明らかになりました。
両社は2026年4月に資本業務提携を発表したばかりですが、わずか半年で経営統合の検討に進んだことになります。
実現すれば、総資産は14兆円を超え、関西最大級の地方銀行グループが誕生する見通しです。
背景には、人口減少や「金利のある世界」に加えて、京都・大阪・滋賀など、従来の県境を越えた金融競争の激化があります。
特に注目したいのが、京都銀行の存在です。
京都銀行は京都府内で圧倒的な営業基盤を持っていますが、2000年代以降、大阪・滋賀・兵庫・奈良などへ営業エリアを拡大してきました。
つまり、京都銀行が「京都だけの銀行」ではなくなったことも、今回の地銀再編を考えるうえで重要なポイントです。
| 順位 | 銀行・グループ | 総資産 |
|---|---|---|
| 1 | 滋賀銀行+池田泉州HD(統合後) | 約14.1兆円 |
| 2 | 京都銀行 | 約11.8兆円 |
| 3 | 関西みらい銀行 | 約9.4兆円 |
| 4 | 滋賀銀行 | 約7.6兆円 |
| 5 | 南都銀行 | 約6.6兆円 |
| 6 | 池田泉州HD | 約6.5兆円 |
| 7 | 紀陽銀行 | 約6.1兆円 |
| 8 | みなと銀行 | 約4兆円台 |
現在、「滋賀銀行」は4位、「池田泉州HD」は6位ですが、統合すると一気に約14.1兆円となり、京都銀行を抜いて関西地銀トップになります。
京都には、世界的な観光産業や有力企業、大学・研究機関などが集積しています。
京都銀行も京都府内では強い営業基盤を持っており、2026年3月末時点で京都府内に111店舗を展開しています。
一方、大阪府にも31店舗を展開しています。
京都銀行自身も、京都以外に滋賀、大阪、兵庫、奈良、愛知などへ営業エリアを拡大し、「広域型地方銀行」を目指しています。
2024年度の京都銀行単体の貸出金は約7兆591億円で、そのうち京都が約3兆6,746億円、大阪・兵庫が約1兆5,458億円となっています。
理由は非常にシンプルです。
大阪の経済規模が大きいからです。
大阪には約875万人の人口と約46万の事業所があり、企業融資や住宅ローンなど、銀行にとって大きな市場があります。
一方、地方銀行にとって大阪市場は、メガバンクやりそなグループ、関西みらい銀行、池田泉州銀行などが激しく競争する市場でもあります。
つまり、
「京都の銀行だから京都だけで営業する」
という時代ではなく、
「京都の銀行も大阪で企業融資を取りに行く」
という時代になっています。
今回の滋賀銀行と池田泉州HDの経営統合検討は、こうした関西の金融地図の変化と無関係ではありません。
滋賀銀行は滋賀県と京都府を中心に営業しています。
一方、池田泉州HDは大阪府と兵庫県を中心としています。
つまり、
| 銀行 | 主な営業基盤 |
|---|---|
| 京都銀行 | 京都・大阪・滋賀・兵庫・奈良など |
| 滋賀銀行 | 滋賀・京都 |
| 池田泉州銀行 | 大阪・兵庫 |
という構図です。
滋賀銀行と池田泉州銀行を組み合わせると、滋賀・京都・大阪・兵庫という関西の主要経済圏を横断する金融グループになります。
しかも、両社の店舗網は比較的重複が少ないとされています。
2025年12月末時点では、滋賀銀行の預金残高が約5兆9,380億円、池田泉州銀行が約5兆8,318億円で、規模もかなり近い水準です。
しかし、京都市は人口減少しており、将来的に京都だけでは経営が立ち行かない可能性があります。
さらに、京都では宗教団体や大学などが再開発や景観規制をめぐって慎重な立場を示すこともあり、京都市も厳しい景観規制を続けています。
その結果、住宅供給が制限され、京都市内ではマンション価格が1億円を超える物件も増えています。
京都市内で住宅を購入できない人が大阪や滋賀へ転居するケースもあり、こうした状況が京都の人口流出に拍車をかけています。
京都銀行が京都市内だけにとどまっていては、地銀の重要な収益源の一つである住宅ローンの新規顧客を獲得しにくくなります。
地方銀行の営業エリアは、都道府県単位ではなく、企業活動や通勤・物流などが一体化した「経済圏」単位へ変化しています。
財務省も、近年の地銀再編について、大阪市などの大都市を中心とした広域経済圏の存在を背景として、地域をまたぐ再編が進んでいると指摘しています。
今回の滋賀銀行と池田泉州HDの経営統合は、単なる2社の問題ではありません。
関西では、
- 京都銀行
- 滋賀銀行
- 池田泉州銀行
- 南都銀行
- 紀陽銀行
- 関西みらい銀行
などが、それぞれの地盤を越えて競争するようになっています。
特に大阪は関西最大の経済都市であり、企業融資の市場規模も大きいことから、地方銀行にとって重要な「成長市場」です。
そのため、今後は、
「県別の地銀」から「関西広域型の地銀」へ
という流れがさらに強まる可能性があります。
今回の滋賀銀行と池田泉州HDの経営統合が実現すれば、その象徴的な存在になるでしょう。
なお、2026年10月23日時点では、両社とも「経営統合を検討していることは事実」としていますが、「具体的に決定した事実はない」と説明しています。したがって、統合の時期や最終的な持ち株会社の形などについては、今後の正式発表を待つ必要があります。
