出典 JR西日本
JR西日本、都市再生機構(UR)、JR西日本不動産開発は、神戸市中央区の(仮称)JR三ノ宮新駅ビルの本体工事に2024年春に着工すると2023年11月15日に発表した。
JR三ノ宮新駅ビルの規模は、地上32階・高さ160m・延床面積10万㎡で、設計・施工は竹中工務店・大鉄工業JVが担当する。
2024年春に着工、2029年度の開業を目指す。総事業費は500億円。
新駅ビルの外観は「ドレスを身にまとった優雅なデザイン」をイメージしている。
フロア構成
フロア | 内容 |
---|---|
31階 | レストラン |
18階~30階 | ホテル(250室) |
12階~17階 | オフィス(賃貸面積6,000㎡) |
地下1階~地上11階 | 商業施設(店舗面積19,000㎡) |
2階レベル? | 駅前広場(ミント神戸との間)に2,500㎡の広場 |
注意点
当ブログでは、宿泊特化型ホテル250室との情報から一般的な駅ビルと予想していた。
しかし、詳細に分析すると、一般的な駅ビルの客単価の2倍の高級路線と予想を変更したため、記事内容を修正しました。しかし、一部では修正前の一般的な駅ビルとしての記述もある。
規模について
160m・延床面積10万㎡と規模は大きいが、オフィス面積は0.6万㎡・商業施設は1.9万㎡・ホテルは250室と外観の割に個々の施設の規模は小さいと思う。
当ブログが思うに、本プロジェクトは規模ではなく既存店の2倍の客単価を目指していると思う。
例えば、ミント神戸の商業施設の店舗面積は1.5万㎡で年商は約100億円なので、当ビルの商業施設の年商は150億円程度予想されるが、客単価が2倍ならば300億円となる。
また、道路を挟んだ反対側の「レムプラス神戸三宮」の客室数は209室で、当ビルのホテル客室数は250室とやや客室数自体はやや多い程度にとどまる。
しかし、レムプラス神戸三宮(ダブル18㎡・ツイン26㎡)よりも平均客室面積が広く、推定で約2倍の30㎡~40㎡と予想される。
宿泊特化ホテルということで、ホテルブランドはJR西日本ホテルズ系のヴィスキオが有力だが、既存のヴィスキオよりもかなりグレードが高いので「新ブランド」となるのではないか?
イメージとして「グランヴィア」に匹敵する高級な宿泊特化型ホテルになるかもしれない。
また、JR西日本は2015年に三ノ宮駅南側で温泉を掘削しており、ホテルで温泉が利用できるかもしれない。
結局のところ、「ミント神戸」と「レムプラス神戸三宮」を合わせた規模の1.5倍程度になるのではないか?
規模から言うと、神戸経済全体を劇的に活性化することは不可能だが、堅実に神戸経済を底上げする効果はあると思う。
しかも、予想よりもホテルのグレードが高く、富裕層とはいかないまでもかなり客単価の高い利用者を集客できると思う。
具体的には「ミント神戸」や「レムプラス神戸三宮」の客単価の2倍くらいを想定した高級路線だと思う。
JR三ノ宮駅前という立地なので客単価の高い利用者の集客に成功すると思う。
その集客した利用者を神戸市街地全体に回遊させることが重要になると思う。
そのためには、阪急阪神、ミント神戸(神戸新聞)、神戸市、地元商店街が「呉越同舟」的な考えで協力して利用者重視の街づくりを2029年までにすべきだと思う。
JR西日本にしても、新ビルのコンセプトを「高級路線」と明確に開示して、地元経済企業や団体と協力すべきだと思う。
企業としては、自社の利益が最重要なので、手の内を明らかにすることはできないかもしれない。
しかし、客単価の高い利用者を新ビルに集客するだけでは、いずれは飽きられて集客力が持続できない。
周辺の商業施設や自治体との一体的な街づくりが必要になる。たとえば、大丸神戸店はデパートの周辺に高級ブランド店を誘致して、元町街全体を高級なものにしている。
そういった取り組みが「三宮」でも必要になっていると思う。
可能性は低いと思うが、JR三ノ宮新駅ビルに「神戸阪急」が入居するくらいのことをしないとならない時期に来ている。
博多阪急(デパート)はJR九州の駅ビルに入居しているので、会社は違うが同じJRグループの駅ビルに入居する事例はある。
阪急にとっても神戸阪急の建替え時期に来ているので、JR三ノ宮新駅ビルに入居することは都合がいいと思う。
ミント神戸から推定すると新駅ビルの商業施設の年商は150億円となるが、阪急デパートが入居すると年商200億円になると思う。
一般的なデパートの賃貸料は売上高の5%~10%なので、本件の賃貸料は年間10億円~20億円が相場となる。
仮に、年間の賃貸料を15億円とし20年契約ならばJR西日本の不動産収入は総額300億円となる。
ビル全体10万㎡の事業費が500億円なので、商業施設の延床面積3.2万㎡部分の事業費は160億円と推定される。
JR西日本的には160億円の投資を20年で300億円回収できれば採算が取れるし、経営資源をホテルに集中できるというメリットもある。
ホテル売上については、客室単価2.5万円×客室数250室×稼働率80%=500万円/日で、年間売上高約18億円と予想される。
簡単に予想すると、商業施設の賃貸収入15億円、ホテル収入18億円、レストラン、オフィスなどを含める年間収入合計35億円と予想される。
投資額が500億円なので約14年で採算が取れる。固く見積もっても20年で採算がとれると思う。
神戸市の役割が重要
企業間では話がまとまりそうにないことを、まとめるのが神戸市の役割だと思う。
それができれば、神戸は大阪と規模を競うのではなく、高級路線で対抗できると思う。
また、神戸市民も神戸市内でお金を使わないと神戸の高級路線は成功しないと思う。
神戸経済の復活は、他力本願ではできないと思う。企業、市民、自治体が協力することが重要だと思う。繰り返しになるがそれをまとめるのが神戸市の役割だと思う。
神戸市役所には優秀な人材がそろっているので、あとは実行するだけだと思う。
2029年が神戸経済の復活の年になればいいと思う。
神戸空港国際線のために地下鉄延伸して数千億円を使うと失敗する可能性が高いと思う。
神戸市は三宮の再開発を優先べきだと思う。
以下、従来の一般的なビルを想定していたので、内容が上記と食い違う点があるかもしれません。
ネーミング
施設名は「JR神戸三宮ステーションシティ」になると思う。そうなると駅名も「JR神戸三宮」に変更するかもしれない。
2022年6月撮影
地図
JR三ノ宮新駅ビル(仮称)物件概要
出典 JR西日本
施設名称 | JR三ノ宮新駅ビル(仮称) |
---|---|
所在地 | 神戸市中央区雲井通8丁目 1-2 |
用途 | 商業施設、オフィス、ホテル |
敷地面積 | 約8,600㎡ |
延床面積 | 約100,000㎡ |
階数 | 地上32階・地下2階・塔屋2階 |
高さ | 約160m |
設計 | 竹中工務店・大鉄工業JV |
施工 | 竹中工務店・大鉄工業JV |
着工 | 2024年春 |
開業 | 2029年度 |
事業費 | 500億円 |
- ホテル(高層階)の客室数は250室で、上質で洗練された客室・ロビー空間を設ける。
- JR西日本グループがビル建設を行い、URは共同事業者として、土地の一部を取得し、新駅ビルと歩行者デッキおよび三宮クロススクエアの工事間調整、公共施設活用に係るルールづくりやエリアマネジメント組織の立ち上がり支援等を行う。
- 2024年春着工で2029年開業予定なので工期は5年となる。他の延床面積10万㎡の規模のビルと比較して約1年間長いが、駅前の工事であることや地下街へ影響がないように慎重に工事するためと思われる。
出典 神戸市(当ブログで一部加工)
出典 JR西日本
当ブログの考察
本物件の規模は、地上32階・高さ160m・延床面積10万㎡と規模は大きいが、オフィス面積は0.6万㎡・商業施設は1.9万㎡・ホテルの客室数250室と外観の割に小さい。
フロア構成(当ブログ試算)
フロア | 用途 | 推定延床面積 | 内容(推定も含む) |
31F | レストラン | 1,500㎡ | 店舗面積1,000㎡ |
18F~30F | ホテル | 20,000㎡ | 250室 |
12F~17F | オフィス | 10,000㎡ | 賃貸面積6,000㎡ |
地下1F~10F | 商業施設 | 32,000㎡ | 店舗面積19,000㎡ |
- 公表されている延床面積は100,000㎡だが、当ブログの試算では「ホテル」「オフィス」「商業施設」「レストラン」の推定延床面積の合計は61,500㎡とちょっと数字が合わない。
- 11F(3000㎡推定)と32F(1500㎡推定)は機械室の可能性がある。
- それら合計しても、66,000㎡にしかならない。
周辺の商業施設まとめ
店舗 | 延床面積 | 店舗面積 | 年商 |
JR三ノ宮新駅ビル | 100,000㎡ | 19,600㎡ | |
神戸阪急(旧そごう神戸店) | 43,600㎡ | 450億円(旧そごう神戸店) | |
ミント神戸 | 41,000㎡ | 15,000㎡ | 100億円 |
神戸三宮阪急ビル (EKIZO 神戸三宮) | 28,500㎡ (10,550㎡) | ||
神戸マルイ | 6,940㎡ | 48億円 | |
大丸神戸店 | 50,700㎡ | 740億円 | |
阪急西宮ガーデンズ | 247,000㎡ | 107,000㎡ | 600億円 |
商業施設19,000㎡
- JR三ノ宮新駅ビルの商業施設の店舗面積は19,000㎡と公表されたので、フルスペックのデパートは入居しないと思われる。
- 1フロア当たりの店舗面積は約1,700㎡で、家電量販店が2フロアくらい入居するのではないか?
- 残り約16,000㎡はJR大阪駅直結の商業施設ルクアのようなものになるのではないか?
- ミント神戸の店舗面積15,000㎡の3割増しくらいになるが、神戸阪急の店舗面積43,563㎡の3分の1程度となる。
オフィス賃貸面積6,000㎡
- 建物全体の延床面積10万㎡に対して、オフィス賃貸面積は6,000㎡と小さい。
ホテル250室
- 今までの公表されている情報によると、JR西日本ホテルズ系のヴィスキオが有力だが、新ブランドの可能性が高い。
- JR広島駅ビルの延床面積は11万㎡で、ホテル(ヴィスキオ)客室は400室。それに比較してもJR三ノ宮新駅ビルの250室は少ない。これは、より広い客室を設置するためと予想される。
- ちなみに、レムプラス神戸三宮は客室数209室で延床面積は7,400㎡。
- JR三ノ宮新駅ビルのホテル(250室)の延床面積は20,000㎡と予想している。
全体の印象
- JR三ノ宮新駅ビルの延床面積は10万㎡と大規模な印象だが、オフィス賃貸面積は6,000㎡とオフィス機能は小さい。
- また、ホテル客室数250室で、延床面積10万㎡の超高層ビルの割に少ない。
- 商業施設も店舗面積19,000㎡と神戸阪急(デパート)の半分以下。
- 公表されている延床面積は100,000㎡だが、当ブログの試算では延床面積66,000㎡にしかならない。
- URが駅間の乗り換え動線や広場を担当するが、その面積が3万㎡になるのではないか?
以下は過去情報
- 2021年12月29日付の神戸新聞にJR西日本社長のインタビューが掲載されている。
- https://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/202112/0014950968.shtml
- 高層階は(宴会場や飲食・物販店などを備えた)高級シティーホテルではなく、高級な宿泊特化型ホテルになる。
- 中層階は「会員制オフィス」を想定しているようだ。
- 低層階は「地域一番店となる商業施設を目指す」
出典 JR西日本
神戸市、JR西日本、都市再生機構(UR)の3者は2021年10月5日に「JR三ノ宮新駅ビル及び三宮周辺地区の再整備」を進めていくことに合意し、連携・協力に関する協定を締結した。
役割分担
事業主体 | 役割 |
JR西日本 | 新駅ビル開発計画の実現 |
神戸市 | 行政手続き・公共施設の整備(容積率の緩和を含む都市計画決定か?) |
UR都市機構 | 公共空間の整備や民間開発等に対するコーディネートによる事業推進 |
PDF https://www.westjr.co.jp/press/article/items/211005_01_sannomiya.pdf
神戸市の三宮再整備のイメージ
出典 神戸市
右側の建物が「JR三宮新駅ビルのイメージ」と思われる。低層階は商業施設とし1フロア当たりの床面積を広くし、その上に中層階(オフィス)、高層階(ホテル)が入居する構想。
出典 神戸市(当ブログで文字を加筆)
出典 神戸市(三ノ宮駅前歩行者デッキのコンぺ作品)
出典 神戸市(三宮クロススクエア)
出典 神戸市(三ノ宮駅前歩行者デッキの地図)
JR西日本の計画(新聞報道などから)
- 「ホテル」(JR西日本系列)と「オフィス」と「商業施設」などを入居させる予定
- JR三ノ宮駅南側に「バスターミナル」と「広場」を一体開発する
神戸市の計画(新聞報道などから)
- 三宮周辺とウォーターフロントの回遊性を重視し、にぎわいを演出
- バス、ポートライナーとの乗り換えに便利な公共空間を建設
- 海と山の見える神戸らしい景観形成
名称 | 延床面積 |
大阪ステーションシティ(サウス・ノースゲートビル) | 530,000㎡ |
京都駅ビル | 237,700㎡ |
JR三ノ宮新駅ビル | 約100,000㎡ |
旧三宮ターミナルビル | 約20,000㎡(地上11階・地下2階) |
JR大阪駅西北ビル(仮称)2024年秋開業 | 約59,000㎡(地上23階・高さ120m) |
JR広島駅ビル(仮称)2025年春開業 | 約111,000㎡(地上20階・高さ100m) |

出典 神戸市
ちなみに「神戸三宮バスターミナル・ツインタワー1期ビル」の高さは164m・地上32階建・延床面積約9.9万㎡で、JR三ノ宮新駅ビルもほぼ同規模の延床面積10万㎡となる。
施設名 | 神戸三宮バスターミナル・ツインタワー1期ビル |
所在地 | 神戸市中央区雲井通5丁目 |
区域面積(開発面積) | 約13,000㎡ |
敷地面積 | 約8,230㎡ |
建築面積 | 約8,040㎡ |
延床面積 | 約98,900㎡ |
容積率 | 約1,009%(現在600%・700%) |
建ぺい率 | 約98%(現在 80%) |
階数 | 地上32階・地下2階 |
高さ | 164m |
解体着工 | 2022年度前半以降 |
竣工 | 2027年度以降 |
勤務者 | 約1,500人 |
高層部・中層部 | オフィス(11F~23F)・ホテル(24F~32F) |
低層部 | 神戸文化ホール(1,800人)・図書館(4F~10F) |
低層部 | 西日本最大級のバスターミナル・待合・店舗(1F~3F) |
位置図
2020年10月撮影
神戸新聞によると、JR西日本は、三ノ宮駅ビル(神戸市中央区)を高さ160mの超高層ビルに建替える。開業は2025年以降になる見通し。
参照 神戸新聞 https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202109/0014685076.shtml
JR西日本は「三ノ宮駅ビル」「JR大阪駅西北ビル(延床6万㎡ 2024年秋開業予定)」「JR広島駅ビル(延床面積11万㎡ 2025年開業予定)」を3大プロジェクトとして開発を行っており、「三ノ宮駅ビル」の延床面積も5万㎡~10万㎡となるのではないか?
当ブログの単なる予想であるが、ビルの高さ160mから推測すると延床面積10万㎡規模の可能性が高いと思う。最低でも7万㎡はあると思う。
ちなみに、JR広島駅建替事業(20階・延床面積約11万㎡)の事業費は600億円で、本物件の延床面積が10万㎡ならば事業費500億円程度、8万㎡であれば事業費400億円程度かもしれない。
工期は3年~4年と予想されるので、2022年~2024年に着工して、2025年~2028年頃に開業する可能性がある。
ただ、本物件の容積率は現在800%と思われるが、これを都市再生特別措置法の特例により1,000%~1,200%に緩和するためには神戸市役所の都市計画手続きが必要で、年単位の時間がかかる可能性もある。
また、JR西日本は新型コロナの影響で業績は悪化しており、2020年度決算は2332億円の当期純損失を出している。そのため、2021年9月に2,425億円の増資をする予定。
したがって、すぐに本物件を着工できるかは不透明で、場合によっては2024年に着工し2028年開業ということもありえると思う。
コメント
神戸市長選挙は、2021年10月31日に投開票が行われる予定で、現神戸市長の任期は2021年11月19日であることから、市長選挙前にとりあえず発表しただけかもしれない。
普通、ビルの高さを発表するなら延床面積も発表すると思うが、それは発表されていない。
まだ、計画の詳細は決定していない感じがする。
焦点は、容積率がいくらまで緩和されるかだと思う。ちなみに、本件物件は都市再生緊急整備地域内にあり容積率は最大2,000%まで緩和できる。
しかし、容積率を緩和するためには神戸市役所の都市計画手続きが必要で、その報道は全くない。
したがって、今回の報道通りに計画が進むかどうかは、今の時点では判断できない。
新三宮ターミナルビル(仮称)物件概要(当ブログ予想)
名称 | 新三宮ターミナルビル(仮称) |
高さ | 160m |
階数 | 地上32階(階高5mで試算) |
延床面積 | 50,000㎡~100,000㎡ |
ホテル(グランヴィア)高層階 | 300室~500室(最大30,000㎡) |
オフィス(中層階) | 最大40,000㎡ |
商業施設(低層階) | 最大30,000㎡ |
JR西日本は2015年に三ノ宮駅南側で温泉を掘削しており、ホテルの入居を計画していた思われる。
その後、2016年11月にJR三ノ宮駅南側が「特定都市再生緊急整備地域」に指定され、容積率緩和が可能となったことから、三ノ宮駅ビルの建替え計画が具体化したと思われる。
一方、神戸市は三宮駅周辺を神戸の中心市街地と考えており、条例でマンション建設を制限しているのでマンションの建設はできないと思われる。
ホテル入居
買い物客はJR三ノ宮駅で下りて徒歩10分の大丸神戸店まで行く。しかし、キャリーバックを持って移動する旅行者にとって徒歩10分でも遠い。したがって、JR西日本にとって駅前立地を最大限生かせるのはホテル事業と言える。
さらに、大阪市内のホテル不足により神戸市内に宿泊するケースもあり、そのような需要も三ノ宮駅直結ホテルであれば十分に取り込める。やはり、新三宮ターミナルビルは「ホテル」中心の再開発になる可能性が高い。
ホテルの規模は?
JR西日本系のJR京都駅ビル「ホテルグランヴィア京都」の客室数は535室、また、オークラ神戸は475室、延床面積約75,000㎡になっている。(駐車場面積も含まれている可能性がある)
「新三宮ターミナルビル」に入居するホテルも300室~500室程度の大型ホテル(ホテル部分の延床面積30,000㎡)の可能性もある。
デパート入居?
JR西日本の百貨店事業「JR京都伊勢丹」は京都駅ビルで成功したが、大阪駅ビルでは失敗した。
JR京都駅周辺には小規模な近鉄百貨店があっただけで、デパート空白地帯だったためJR京都伊勢丹は成功した。しかし、JR大阪駅周辺は百貨店激戦区であり、JR西日本の百貨店事業は失敗した。
神戸市街地には「大丸神戸店」「阪急神戸店」という老舗百貨店があり、JR西日本としては絶対に成功するとは言い難い。
また、本格的なデパートが入居するならば、デパート店舗面積5万㎡が必要だが、そうなるとデパート延床面積は10万㎡になる。
本物件全体の延床面積は最大でも10万㎡と予想されるので、地上12階建程度のデパートだけになってしまい、高さ160mの計画と矛盾する。
したがって、ビルの延床面積が10万㎡以下ならば「JR新三宮ターミナルビル」に本格的なデパートが入居する可能性は低いと思う。
ルクア入居か?
大阪駅の商業施設「ルクア+ルクアイーレ」の売上は年間761億円と好調だ。JR西日本としては、ルクアを三宮駅ビルに入居させる計画かもしれない。
しかし、JR大阪駅のルクアとルクアイーレの合計延床面積は8万㎡(店舗面積5万3000㎡)に対して、「新JR三宮駅ターミナルビル」は全体で延床面積5万~10万㎡と予想されるので、ルクアを入居させても、最大で延床面積約3万㎡程度と思われる。
JRの動き
上述のようにJR西日本としては鉄道収入が伸び悩む中、不動産収入を増加させるため駅前に10万㎡クラスの巨大駅ビルを建設したいと思っているのではないか?
一方、神戸市、阪急、大丸神戸店、三宮駅周辺の個店などJR以外の関係者は、JR駅ビルを100,000㎡以上の大規模ビルに建替えることに反対と思われる。
ここまで関係者が反対ならばJRとしても容積率600%~800%(延床面積30,000㎡~50,000㎡)で建替えせざるを得ないのではないか?
ただ、JRとしては旧駅ビルの地下部分も含めた解体完了は2021年夏頃になり、神戸市長の任期は2021年11月19日となっている。
神戸市長選挙の結果次第では容積率が緩和される可能性もあるので、それまでは建替計画を発表しないのかもしれない。

ポートライナーを6両から8両化する計画がある。その場合「ポートライナー三宮駅」のホームも延長する必要があるが、ポートアイランド方面は駅を出るとすぐにカーブしており、ホームを延長する空間がないように思える。したがって、ポートライナーのホームを「JR三ノ宮新駅ビル」方向(写真の左方向・西側)に延長するのではないか?
まとめ
JR大阪駅「西北ビル」(約59,000㎡・高さ120m)が2024年秋開業、JR広島駅ビル(約111,000㎡・高さ100m)が2025年春開業する予定になっている。
また、大阪梅田の「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」が2022年春に全面開業するので、そのころに「神戸阪急(デパート)」の建替えを決定するかもしれない。そうなるとJR三宮ビルの建替えを早める必要がある。
「旧三宮ターミナルビル」の物件概要
延床面積 | 約20,000㎡ |
階数 | 地上11階・地下2階 |
11階 | レストラン |
6階~10階 | 三宮ターミナルホテル(客室数190室) |
地下2階~地上3階 | 三宮OPA |
開業 | 1981年開業 |
営業終了 | 2018年3月 |
阪急の動き
2016年4月に神戸阪急ビル東館の解体工事に着手し「神戸三宮阪急ビル」として2021年4月26日に開業する。
また、2017年10月に「そごう神戸店」と「西武高槻店」の経営権と土地と建物の一部を合計151億円で買収している。
阪急は1995年の阪神大震災以来約20年間も「神戸阪急ビル東館」を仮店舗で営業していた。
阪急としては、阪急神戸線と神戸市営地下鉄「西神線」を地下で接続させ阪急の高架線路と地上駅舎を撤去し、その空間(敷地面積7,100㎡)に150,000㎡(容積率2,000%+容積外延床面積)の巨大駅ビルを建設し、阪急百貨店を入居させる計画のたったのではないか?しかし、神戸市地下鉄との接続計画は頓挫し、2016年頃に阪急は「そごう神戸店」を買収できる感触を得て計画を変更し「阪急神戸ビル東館」を延床面積28,500㎡で建替える決断をしたのではないか?
阪急としては、JR三宮駅ビルが100,000㎡で建替えられ「他社デパート」が入居すると「神戸阪急(旧そごう神戸)」と競合するのでJR三宮駅ビルは30,000㎡~50,000㎡の中規模でデパートが入居しない方がいい。
そのために「阪急神戸ビル東館」を、先行して建替(容積率600%~700% 延床面積28,500㎡)すれば、JR三宮駅ビルの容積率も600%~800%となると思ったのではないか?
根拠としては弱い感じもするが、同じ鉄道会社で道路を挟んで隣り合う駅ビルの一方が容積率600%~700%で、他方が1,600%ということには行政的にできないと思ったのではないか?
そもそも、神戸市としてもJR三宮駅ビルを小規模にしたい意向と思われるので「阪急の容積率600%~700%」という前例ができれば、JR駅ビルの容積率も大幅な緩和はできないと予想したのかもしれない。