神戸空港(筆者 撮影)
神戸新聞によると、神戸市は神戸空港と三宮間に地下鉄の新路線(約8km)を建設することを検討している。
建設費は神戸市営地下鉄「海岸線(7.9km)」の建設費2,400億円以上となる見通し。
路線については、ポートライナーの東側案と西側案が検討されている。
参照・引用 神戸新聞
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当ブログの予想では、都市部の地下鉄の建設費は1km当たり約400億円で、神戸空港=三宮間8kmの地下鉄建設費は3,200億円程度と思われる。
一般的に、鉄道の建設費の6割~8割を国が補助金として負担する。
しかし、これには「40年間で黒字転換する」という条件がある。実際、阪急電鉄の「伊丹空港線」構想は、「40年間で黒字転換する可能性が低い」とされ、建設が見通せない状況になっている。
利用者数予想と採算性
神戸空港は2030年に国際定期便が就航する予定で、利用者は700万人(国内線510万人・国際線190万人)と予想されている。
空港利用者の6割が利用すると、年間420万人×往復で2回=年間840万人、1日2.3万人となる。
建設費2,400億円の地下鉄海岸線は1日の利用者5万1400人でも赤字なので、空港利用者だけでは、地下鉄(仮)空港線も赤字となる可能性が高い。
ちなみに、地下鉄海岸線は1日13万人の利用を想定して建設された。
地下鉄(仮)空港線の建設費が海岸線の約1.5倍となると予想されるので、1日20万人の利用がないと黒字化しないのではないか?
ちなみに、空港利用者数年間840万人とし運賃400円なら年間運賃収入は約34億円となる。
40年間でも運賃収入合計は1,360億円なので、やはり、空港利用者だけでは、採算が取れないのは明らかだ。
しかも、現在のポートライナーも存続すると予想されるので、地下鉄(仮)空港線と利用者を奪い合う可能性もある。
路線は西側がいいと思う
ポートライナーの西側に敷設すると、建設予定の「神戸アリーナ」直結の駅も建設可能となり、アクセスが改善する。
落としどころ
ポートライナーが混雑するのは「三宮=医療センター」間だけなので、新地下鉄のルートは「三宮駅=新港突堤=医療センター」の約5kmを先行して建設するのではないか?
役人的な発想ならば、「三宮=医療センター」の約5kmを1期とし「医療センター=神戸空港」3kmを2期として、1期5kmの黒字化が見えた段階で、2期3kmを建設するのではないか?
神戸新聞の記事は神戸市役所の「観測球」であって、市役所内部でも「検討中」だと思う。
既存路線との接続
三ノ宮で、神戸市営地下鉄「西神・山手線」新神戸方面と接続すると、新神戸=神戸空港のアクセスが改善する。
しかし、これを実現するには、神戸市営地下鉄「西神・山手線」西神方面と阪急神戸線を接続することになるのではないか?
神戸地下鉄と阪急神戸線の接続には2,000億円の建設費がかかるとされており、実現は困難とされている。
したがって、地下鉄(仮)空港線と地下鉄「西神・山手線」新神戸方面との接続はないと思う。
自動運転車の可能性も
神戸空港が2030年に国際化しても、鉄道需要は1日2.3万人程度なので、片道だと約1.2万人。
12時間で1.2万人を輸送するためには、1時間に1000人を運べばいい。
1車両に2名乗車するとして、1時間で500台で足りる。
例えば、三ノ宮駅前と神戸空港駅前に20台分の乗場・降車場を設置すると、乗車・降車に2分かかるとして、2分で20台を処理できる。1時間で600台を処理できる。
運賃も1km100円なら、三ノ宮=神戸空港8kmは約800円になる。2名乗車だと1名400円なので、十分利用できる。
自動運転車が1台500万円としても500台で25億円、道路整備などを含めても100億円程度で実現できるのではないか?
神戸市営(仮)空港線の概要(当ブログ予想)
名称 | 神戸市営(仮)空港線 |
区間 | 三宮-神戸空港 |
線路長 | 約8km |
開業 | 2035年~2040年(予想) |
駅数 | 5駅~10駅(予想) |
所要時間 | 10分~15分(予想)
(ポートライナー18分・海岸線全線14分) |
建設費 | 3,200億円(予想) |
乗客数予想 | 神戸空港駅利用者年間840万人(2.3万人/日) |
必要乗客数 | 20万人/日(予想) |
運賃予想 | 400円(ポートライナー340円・海岸線全線280円) |
当ブログの結論 | 40年間で黒字転換の可能性は低く、国の補助金は期待できない。
したがって、神戸市が3,200億円全額負担するなら建設は可能と思われる。 もし、建設する場合、「三宮=医療センター(5km)」を1期として先行開業し、「医療センター=神戸空港(3km)」は、一期の黒字化が見えた段階で着工するのではないか? |
神戸のウォーターフロントへのアクセス改善が期待できる。
神戸アリーナ物件概要
西側上空から望む
名称 | 新港突堤西地区(第2突堤)再開発事業(KOBE Smartest Arena) |
所在地 | 神戸市中央区新港町130番2 |
用途(旧計画) |
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敷地面積 | 約23,700㎡ |
延床面積 | 約31,800㎡ |
収容客数 | 約10,000人 |
構造 | (旧計画 RC造、SRC造、S造) |
高さ | (旧計画 約30m) |
階数 | (旧計画 地上5階建) |
土地所有者 | 神戸市 |
建物所有者 | NTT都市開発 |
運営会社 | 株式会社 One Bright KOBE |
設計 | 大林組 |
施工 | 大林組 |
コンストラクションマネジメント会社 | 株式会社山下 PMC |
着工 | 2023年4月 |
竣工予定 | 2024年2月 |
アクセス | JR「三ノ宮駅」から約1.5km(徒歩約20分) |
夜景イメージ
神戸市営地下鉄海岸線の概要
名称 | 神戸市営地下鉄海岸線 |
愛称 | 夢かもめ |
区間 | 三宮・花時計前-新長田 |
線路長 | 7.9km |
開業 | 2001年7月7日 |
駅数 | 10駅 |
建設費 | 2,400億円 |
累積赤字 | 累積赤字1,069億円(2020年度見込み) |
乗客数予想(開業5年目) | 13万人/日 |
2019年度乗客実績 | 5万1400人/日 |