2019年5月11日の関空3空港懇談会で神戸空港の20便(10往復)の増便と午後11時までの運用時間延長が合意された。
これを受け、2019年8月1日から規制緩和(3往復増便)が実施される見通しとなった。
ただ、3往復の増便であれば、現在の午前7時~午後10時の運用時間で対応できる可能性もあり、運用時間が午後11時まで延長されるかどうかは不透明。
もしかすると、FDA(フジドリームエアラインズ)が新規参入する2019年10月以降の「冬ダイヤ」から運用時間が午後11時までとなるかもしれない。
実際、国土交通省は2019年10月から大阪航空局管内配属の航空管制官を若干名募集している。
また、神戸空港の国際線就航が2025年頃まで先送りされたことで、スカイマークは中部空港からのサイパン路線就航を検討する可能性がある。
スカイマーク増便路線(2019年8月1日)
路線 | 現行 | 2019年8月1日以降 |
神戸~那覇 | 1日3往復 | 1日4往復 |
神戸~長崎 | 1日3往復 | 1日4往復 |
神戸~茨城 | 1日2往復 | 1日3往復 |
スカイマークの神戸便はどうなるのか?
就航先 | 増便内容 |
羽田空港 | 羽田発午後9時~午後10時に増便?(羽田の枠がなく実現可能性は低い) |
那覇 | 増便決定「1日3往復→1日4往復」 |
鹿児島 | 増便? |
長崎 | 増便決定 「1日3往復→1日4往復」 |
茨城 | 増便決定 「1日2往復→1日3往復」 |
仙台 | 増便? |
奄美大島 | 新規就航検討? |
宮古空港(沖縄県) | 下地島空港も含め新規就航検討? |
まず、今まで就航していない空港に新規就航するには、設備や人員を新規で配置する必要がありハードルが高い。したがって、現在就航している空港への増便の可能性が高い。
また、新幹線と競合する「神戸=福岡」「神戸=熊本」路線への新規就航の可能性は低い。
羽田空港
羽田空港の午前6時~午後11時までの「昼間時間帯」の発着枠がなく、羽田空港を午後11時までに出発する便の増便の可能性は低い。
茨城空港
茨城空港は発着枠に余裕があり、駐車場無料のため北関東広域から集客できる。
「茨城空港=那覇空港」路線は、直行便が1往復就航しているが、神戸空港で乗り継ぎ、長崎や沖縄に行く便を設定することもでき、「1日2往復」から「1日3往復」への増便が決定した。
長崎空港
スカイマークは羽田空港の発着枠が少ないため、「羽田~神戸~長崎」の神戸経由便を運航している。
神戸は人口が減少し、航空需要の増加が見込めないため、神戸経由便を増便する傾向がある。
そのような経緯から「神戸~長崎」便は「1日3往復」から「1日4往復」に増便される。
那覇空港
那覇空港は、2019年3月に連結ターミナルが開業し、ターミナルに余裕ができた。
「1日3往復」から「1日4往復」に増便が決定した。
宮古空港・下地島空港
2019年3月に定期便が就航した「下地島空港(沖縄県宮古島市)」も有力候補地となる。
しかし、1日1便では採算的には厳しいので、羽田空港=下地島便など他都市からも就航しないと難しいかもしれない。
みやこ下地島空港ターミナル(沖縄県宮古島市)筆者撮影
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スカイマークとしては、神戸空港を乗り継ぎの拠点空港(ハブ空港)として強化する方針かもしれない。
神戸空港の現在の発着枠30往復のうち、スカイマークが22往復、ANAグループが8往復運航している。
増便枠10往復のうち、スカイマークの3往復、FDA(フジドリームエアラインズ)の2往復の増便が決定しており、残りの増便枠は5往復となる。
さらに、FDAは「神戸~出雲」路線1往復の就航を検討しており、これが実現すると、残りの増便枠は4往復となる。
航空会社 | 現在の発着枠 | 増便後の発着枠 | 増便数 |
スカイマーク | 22往復 | 25往復 | 3往復 |
ANAグループ | 8往復 | 8往復 | 0往復 |
FDA(フジドリームエアラインズ) | 0往復 | 2往復(+1往復検討中) | 2往復(+1往復検討中) |
合計 | 30往復 | 35往復 | 5往復 |
神戸空港年間利用者400万人へ
2018年の神戸空港の年間利用者数は318万人で全国14位だった。
現在の1日30往復(60便)から1日40便(80便)に増便されると、年間利用者数は400万人まで増加する可能性がある。
2018年の実績では、全国9位の鹿児島空港が597万人、全国10位の仙台空港が357万人なので、年間400万人ならば全国10位の空港になる。
1日120便は可能か?
兵庫県の井戸知事は1日60往復(120便)までの増便を要望している。
もし、これが実現するなら神戸空港の年間利用者数600万人になり、全国9位の鹿児島空港(597万人)を抜き、全国8位の中部空港(1,204万人)に次ぐ全国9位となる可能性がある。
ただ、600万人規模になれば、現在の神戸空港ターミナルでは手狭で、100億円以上の建設費で増床・新ターミナル建設が必要になってくる。
60便 | 80便 | 100便 | 120便 | |
運用時間 | 15時間(7時~22時) | 16時間(7時~23時) | 18時間(6時~24時) | 18時間(6時~24時) |
1時間当たり便数 | 4便 | 5便 | 約5.6便 | 約6.7便 |
神戸空港の進入経路は「明石海峡大橋=神戸空港」間は、鉄道の単線のようなもので、離陸と着陸を同時にはできない。
当ブログの試算では、「滑走路進入」+「離陸待機」+「滑走路走行」+「神戸空港から明石海峡大橋まで飛行」の合計で約10分となる。
したがって、離陸と着陸が交互に行われる場合は、1時間に6便が限界となる。
もちろん、離陸2便連続+着陸2便連続という運用ならば1時間当たりの発着便数を6便以上にできる。
しかし、現在でも着陸待ちのため姫路沖(播磨灘)上空を旋回している。1日120便(60往復)となれば、恒常的に遅延が発生する可能性があり、1日100便(50往復)程度が上限かもしれない。
2021年までに1日80便(40往復)、2025年までに1日100便(50往復)という可能性は十分にある。これならば小規模な増床で対応でき現実的と言える。
1日100便と1日120便とは、ほとんど同じではないかと思うかもしれないが、20便増便で年間100万人の増加となる。
ターミナルの処理能力上限付近の100万人の違いは大きい。