神戸市は、2020年6月から六甲山上に「オフィス」の誘致を開始する。この「オフィス」には3つのタイプ(空間)がある。
- 自然調和型オフィス(没入空間)
- 最先端テクノロジー(実装空間)
- 創造を生むつながり(共創空間)
既存の企業保養所をオフィスに転換
六甲山上の企業保養所を「オフィス」に転換し、当面10件程度の誘致を目指す。そのための改修経費や情報通信環境整備のため最大3,000万円の補助精度を創設する。
スタートアップ企業への支援
スタートアップ企業に対してオフィス賃借料・改修費・通信回線使用料など3年間で最大1,300万円を補助する。
「Be Smart KOBE」プロジェクト
人口減少や高齢化、エネルギー転換を最先端テクノロジーで解決する。個人データ・ビッグデータを活用した最先端テクノロジーを導入できるように基盤整備する。
国家戦略特区制度(スーパーシティ)を活用し規制緩和する。
「共創ラボ」を2021年3月までに六甲山上に設置する。遊休地を利用したカフェや宿泊施設の一部を「コワーキングスペース」として活用する。
スタートアップ企業支援を目的とするコワーキングスパースを新に設置する場合、最大650万円を補助する。
神戸市はさらに次世代大容量通信規格「5G」の実証実験も六甲山上で行い、ドローンを活用した山上への物資輸送実験も近く始める。
一見、意欲的な計画でよさそうな気がする。しかし、そもそもの発想が神戸市の人口減少を食い止めるため、活用されなくなった六甲山上の「企業保養所」を再生することにあるが、「企業保養所」が活用されなくなった原因について全く考慮していない。
MBSによると1990年には六甲山には229社が保養所を所有していたが、2018年には55社まで減少しているという。
引用・参照 https://www.mbs.jp/mint/news/2020/02/07/074851.shtml
アクセス問題
六甲山上には「六甲ケーブル」を使うが、阪急・JR・阪神線と直結していなく「六甲ケーブル下駅」まで路線バスを使用することになる。そして「六甲ケーブル山上駅」からも「六甲山上バス」を利用しないといけない。梅田や神戸三宮から六甲山上に行くのにはアクセスが致命的に悪い。
車で行くにしても「表六甲ドライブウェイ」は土日は渋滞で山に登るのに30分以上、山から下るのに30分以上かかるし、六甲山上の道路も片側1車線で駐車場待ちの渋滞などが発生しており不便すぎる。
久元神戸市長は東京からのオフィス移転を期待しているようだが、六甲山上から新神戸駅まで1時間くらいかかるので東京へのアクセスも悪い。
湿気問題
六甲山上って「夏は涼しい」イメージがあるが、実は湿度が高く、保養所などが全室に除湿器を設置するくらいだ。年間を通じて暮らしたり仕事をするには「快適」とは言えない。
久元神戸市長
神戸市の久元喜造市長は2018年12月1日、神戸市を訪問した片山さつき地方創生担当相と意見交換をした。久元市長が積極的に動いている印象があるが、東京から企業を誘致するだけでなく、地元の神戸の企業を支援することも重要ではないか?
六甲山。森の中にお洒落な工房やオフィスが点在し、豊かな時間が流れる。眼下の夜景を眺めながら、アイデアを育む。with コロナの時代、東京一極集中の密な働き方は見直され、自然と調和した働き方と暮らしが価値を持つのではないか。「六甲山上スマートシティ構想」。今日、記者会見で発表しました。
— 久元喜造(神戸市長) (@hisamotokizo) May 28, 2020