2025年夏、日本株は歴史的な上昇基調にあります。その背景には、いったい何があるのでしょうか？
巷では「外資が日本株を買っている」という声も聞かれます。
例えば、運用資産1,700兆円を誇る米国の投資会社ブラックロックは、日本株を「オーバーウエイト」と位置付け、積極的に買いを入れています。仮にブラックロックの運用資産の1％でも日本株に投じると、なんと17兆円規模の資金が日本の株式市場に流入する計算になります。
さらに、日本に流れ込む巨大な資金は、ブラックロックだけではありません。ブラックロックが日本株を購入しているのを見て、欧州の機関投資家や中東のオイルマネーも追随し、相次いで日本株を買い進めていると考えられます。
この記事では、世界マネーが日本に流入する理由と、特に日本の二大都市である東京と大阪への影響について探ります。
世界最大の資産運用会社であるブラックロックをはじめ、欧州の年金・機関投資家、そして中東のオイルマネー。令和の日本に、まさに「黒船」が押し寄せているのです。
なぜ、これほどまでに世界中から資金が集まるのか？ 主な理由は以下の4つです。
- 円安による割安感: 円安が続くことで、海外投資家から見れば日本の資産が相対的に安く見えます。
- 企業収益の改善: 多くの日本企業が過去最高益を更新しており、投資家にとって魅力的な投資対象となっています。
- コーポレートガバナンス改革: 企業統治の改善が進み、投資家の権利が守られる環境が整いつつあります。
- 地政学的な安定性: 世界的に不安定な情勢が続くなか、相対的に安定した日本の地政学リスクの低さが評価されています。
これらの条件が揃ったことで、世界マネーは日本という「お宝」に目を向けているのです。
外資の流入は、東京と大阪で異なる様相を呈しています。
東京はすでに多くの日本企業の本社が集中し、外資も深く入り込んでいる成熟した都市です。いわば、既存の資本が強固な「城壁」を築いているような状態と言えます。
一方、大阪は外資にとって、まだ開拓の余地がある「フロンティア」です。関西国際空港の運営への外資参入、IR（統合型リゾート）や外資系ホテルの誘致、そしてうめきた再開発や淀屋橋ゲートタワーのような新たなビジネス拠点の整備が進んでいます。
大阪は、東京とは違う形で外資を受け入れる土壌が整ってきているのです。
外資の流入は、大阪の都市開発や産業に大きな影響をもたらします。
まず、潤沢な資金の流入は、都市再開発や不動産、観光といった分野を加速させるでしょう。また、外資が重視するESG（環境・社会・ガバナンス）やサステナビリティといった視点が、経営だけでなく都市政策にも浸透し、より持続可能な都市づくりにつながります。
さらに、「東京だけでなく大阪も投資先だ」という認識が世界に広まれば、都市ブランドの向上にも貢献します。
もちろん、チャンスだけではありません。外資への依存度が高まると、利益の国外流出や、地域住民との利益調整が課題になる可能性があります。また、投資が撤退する際には、都市に直接的な影響が及ぶリスクも念頭に置く必要があります。
もし東京が「金融の中心地」として完成形に近い都市だとすれば、大阪は「外資と共創する都市開発のフロンティア」として独自の道を歩むべきです。
そのためには、ただ資金を受け入れるだけでなく、外資と地元資本が協力するモデルを構築することが重要です。また、水素やライフサイエンス、環境技術など、特定の産業分野に絞って外資を誘致することも効果的でしょう。
そして何より、外資のメリットを市民に還元することを意識し、柔軟性を持って「外資の黒船」を受け入れる窓口を開いていくことが求められます。
幕末に「黒船」が到来し、日本が近代化を加速させたように、令和の大阪は「外資の黒船」をどのように活かすかによって、その未来が大きく変わるはずです。