大阪メトロは2026年9月30日、「Osaka Metro Group 2026-2028年度 中期経営計画」を発表しました。
2026年度から2028年度までの3年間を「交通インフラの盤石化と改革のフェーズ」と位置付け、鉄道の安全対策や駅のリニューアル、都市開発などを進めます。
投資額は、基礎的な投資として約1,800億円を計画。さらに、今後の成長投資に対応するため最大1,000億円の「戦略投資枠」を設定しており、合計では最大2,800億円規模となります。
参照 大阪メトロ
今回の中期経営計画では、鉄道事業を中心に約1,800億円を投資します。
主な内容は、老朽化した設備の更新、安全対策、駅務機器の更新、エレベーター設置などです。
また、駅の大規模リニューアルやトイレのリモデルなど、利用者の快適性を高める取り組みも進めます。
さらに、基礎的な投資とは別に、成長分野への投資余地として1,000億円の戦略投資枠を設定します。
今後、投資機会を見極めながら、大阪の発展につながる事業への投資を進める方針です。
鉄道サービスでは、最新技術の導入も進みます。
2027年度には、顔認証改札機を全駅に設置する計画です。
また、2031年度の「脱磁気化」に向けて、普通乗車券のQR化に対応する機器整備も進めます。
e METROアプリについても、2028年度にモビリティの一括予約や多言語対応を開始する計画で、マイナンバーカード連携やレコメンド機能なども予定されています。
駅については、第2期駅リニューアルの計画策定・設計に着手するほか、2028年度までに18カ所のトイレをリモデルする計画です。
今回の中期経営計画で特に注目されるのが、森之宮エリアの開発です。
大阪メトロは、中央線延伸による「(仮称)森之宮新駅」の整備を推進します。
新駅周辺では、駅ビルや駅前空間、交通広場などの整備を計画。新駅の上部空間を活用した駅ビルでは、商業・宿泊など複合的な機能を導入する方針です。
さらに、空飛ぶクルマの離着陸場となるバーティポートの整備も検討されています。
森之宮では、音楽やスポーツなどのエンターテインメント拠点となる大規模集客・交流施設についても計画を具体化するとしています。
大阪メトロにとって森之宮開発は「初となる大規模再開発」と位置付けられており、今後の大阪城東部地区のまちづくりを左右する重要なプロジェクトになりそうです。
森之宮だけでなく、御堂筋線沿線を中心とした都市開発も進めます。
大阪メトロは「東西軸」と「南北軸」を設定し、東西軸では森之宮・夢洲、南北軸では本町・心斎橋・なんばを重点エリアとして位置付けています。
特に本町では、まちづくりに資するアセットの開発・取得を進める方針です。
また、夢洲では万博跡地となる「夢洲2期開発」への事業参画についても検討するとしています。
今回の計画では、駅そのものの役割を広げる「駅まち開発」も大きなテーマとなっています。
大阪メトロは、全駅を対象として、駅や駅周辺の特性に合わせたサービスを展開する方針です。
駅ナカではコンビニ、コワーキング、ロッカー、飲食店など、駅チカではスーパーやカフェなどの商業機能を想定。
さらに、オンライン診療や見守りサービス、行政サービスなど、生活に関わるサービスも駅を窓口として提供する構想です。
単なる「地下鉄駅」から、交通と商業、生活サービスが一体となった「マルチステーション」への転換を目指しているといえそうです。
次世代モビリティにも取り組みます。
自動運転バスについては、2026~2028年度に実証を進め、2030年度以降の社会実装を目指します。
また、空飛ぶクルマについては、大阪港バーティポートで複数事業者と連携し、2028年度以降の商用運航開始を目指しています。
森之宮新駅・駅ビルに整備予定のバーティポートについても、環境影響調査や基本設計、実施設計を進める計画です。
財務面では、2026~2028年度の計画期間を通じて、営業利益を平均400億円程度確保する計画です。
また、大阪市への財政貢献は3年間で330億円以上、EBITDAは累計2,900億円以上を目標としています。
大阪メトロは、人口減少や人手不足、物価高騰、設備老朽化などを今後の課題として挙げています。
そのため今回の中期経営計画は、単純な路線拡大よりも、既存の地下鉄ネットワークを維持・更新しながら、駅や沿線の不動産開発、MaaS、AI・自動運転などへ事業領域を広げる内容となっています。
特に森之宮新駅・駅ビル、大規模アリーナなどの開発と、中央線・御堂筋線を軸とした沿線開発は、大阪の都市開発という観点からも注目されます。
今後3年間で最大2,800億円規模の投資がどのように実行されるのか、大阪メトロの「交通を核にしたまちづくり」に注目したいところです。
