リニア中央新幹線(品川~名古屋)の開業は2027年の予定だったが、静岡工区で大井川の水位が低下するとの懸念から建設工事に着工できていない。
すでに1年半遅れになっており、開業は2029年以降になると見られる。
しかも、静岡工区の着工の目途は全く立っておらず、2029年に開業できるということでもないと思う。
名古屋~新大阪区間も2037年開業が目標だったが、2039年以降になると予想される。
リニア中央新幹線の所要時間
区間 | 距離 | 所要時間 | 開業時期 | 総工費 | |
リニア(新幹線比) | 現行新幹線 | ||||
品川~名古屋 | 286km | 40分(-50分) | 90分 | 2027年(2029年以降) | 7兆円 |
名古屋~新大阪 | 152km | 27分(-21分) | 48分 | 2037年(2039年以降) | 3.5兆円 |
品川~新大阪 | 438km | 67分(-71分) | 138分 | 2037年(2039年以降) | 10.5兆円 |
品川駅=新大阪駅の所要時間は現在の2時間18分から、1時間7分(67分)と71分短縮される。
名古屋~新大阪区間は「次世代新幹線方式」に変更すべき
- 品川~名古屋のリニアの開業を待っていれば、名古屋~新大阪区間の開業はどんどん遅くなる
- 名古屋~新大阪駅区間は、時速360kmの次世代新幹線で建設すべき
- 北陸新幹線は2024年春に敦賀駅まで延伸されるが、敦賀から米原までは40kmで、そこから東海道新幹線に乗り入れすれば、新大阪駅まで接続できる
- 名古屋~新大阪区間に次世代新幹線路線を建設すれば、既存の東海道新幹線(名古屋~新大阪駅)の混雑が緩和され、北陸新幹線が乗り入れできる
- 名古屋~新大阪はJR西日本が建設・運行すべき
- 新大阪駅を経由してJR大阪駅まで延伸すべき
区間 | 距離 | 所要時間 | 開業時期 | 総工費 | |
リニア(新幹線比) | 現行新幹線 | ||||
リニア(名古屋~新大阪) | 152km | 27分(-21分) | 48分 | 2037年(2039年以降) | 3.5兆円 |
次世代新幹線(名古屋~新大阪) | 152km | 32分(-16分) | 48分 | 2035年 | 2兆円~3兆円? |
- 次世代新幹線は最高時速360kmだが、N700Sの時速300kmまでの到達時間4分を基に試算すると、約32分となる。これはリニアの27分と5分しか違わない。
- 現在、新大阪駅から大阪駅へは乗換時間を含め約10分かかっているが、次世代新幹線を大阪駅まで延伸すると、逆にリニアよりも所要時間は5分短くなる。
- 東海道新幹線の1日当たりの運行本数は約400本~450本だが、そのうち半数の200本~250本は新大阪始発・終点であり、それだけ大阪への需要が高い。
リニア中央新幹線の断面輸送力
交通機関 | 座席数 | 1時間当たり片道便数(速達型) | 1時間当たり片道輸送人員 | 車両数 |
リニア | 1,000座席 | 速達型4本 | 4,000人 | 16両 |
新幹線のぞみ | 1,323座席 | のぞみ12本 | 15,876人 | 16両 |
リニア速達型の断面輸送力は「新幹線のぞみ」の4分の1しかない。
名古屋~新大阪区間の所要時間はリニア27分、次世代新幹線32分と次世代新幹線の方が5分遅い。
しかし、断面輸送力は次世代新幹線の方がリニアの約4倍あり、次世代新幹線の方が経済効果が高い。