
2024年6月(北から撮影)
信和不動産株式会社は、大阪・道頓堀エリアに所有していた約2,000㎡の土地を売却したと発表しました。報道によれば、この土地を三菱地所株式会社が2024年7月末に取得したとみられます。
この土地は、観光客でにぎわう大阪市中央区道頓堀2丁目に位置し、戎橋や道頓堀川に近い好立地。周辺では近年、外資系ホテルや大型商業施設の開発が相次いでおり、再開発エリアとして注目が高まっています。
そして2025年10月現在、SNS上では「三菱地所による道頓堀2丁目ホテル計画のボーリング調査が実施される」との投稿が話題になっています。新ホテル建設に向けた事前調査が進められる可能性が高いと思われます。
ちなみに、信和不動産は地上30階建・高さ100mの複合ビルを建設する予定でした。

土地買収の経緯
この土地(約2,500㎡)は、かつて「ニュージャパン」グループが運営していた温浴・娯楽施設の跡地であり、リーガル不動産(現・株式会社LeTech〈リテック〉)が約100億円弱で取得したとされます。
その後、LeTechは敷地を東側(約500㎡)と西側(約2,000㎡)に分筆。このうち西側の2,000㎡を信和不動産株式会社(大阪市)が取得しました。
さらに2024年7月末、信和不動産はこの2,000㎡の土地を三菱地所株式会社に売却しました。
当ブログの見方
今回の土地取引で注目すべきは、その取引価格の高さです。
旧ニュージャパンなんばビル跡地(約2,500㎡)のうち、信和不動産が取得した約2,000㎡部分の取引価格は約100億円弱とされており、全国的にも異例の高値水準に達しています。
しかし、この土地は商業地域で容積率が500%程度と、都心としては比較的低い水準ですが、総合設計制度により容積率は400%割増しの900%まで緩和される可能性があります。
この場合、容積対象延床面積は約1.8万㎡、延床面積は2万㎡となる可能性があります。
ただ、開発予定地周辺には休憩利用中心のホテルが多いため、海外富裕層をターゲットにした高級ホテル立地としては環境が厳しいのが実情です。
こうした条件を踏まえると、三菱地所が単なるホテル開発を行う可能性は低く、
当ブログの予想では「ホテル+分譲マンション」の複合開発、もしくは、「ホテルコンドミニアム」方式(客室を投資家に販売し、運営収益をシェアする仕組み)を採用すると思います。
この方式であれば、投資家に客室を販売することで初期費用を回収しつつ、運営事業者として継続的な収益も確保できるため、土地取得コストの高さを吸収できるビジネスモデルとなります。
アクセスは、大阪メトロ「なんば駅」から徒歩2分。
地図
| 名称 | 大阪市中央区道頓堀2丁目ホテル計画 |
| 所在地 | 大阪市中央区道頓堀二丁目12番1(他7筆) |
| 用途 | ホテルとマンションの複合ビル・またはホテルコンドミアム |
| 敷地面積 | 2,001.46㎡ |
| 延床面積 | 20,000㎡(予想) |
| 建ぺい率 | 80%(当ブログ調べ) |
| 容積率 | 500%(当ブログ調べ)⇒ 900%まで緩和か? |
| 階数 | 地上15階~30階 |
| 高さ | 60m~100m |
| 客室数 | 200室 |
| 事業者 | 三菱地所株式会社 |
| アクセス | Osaka Metro「なんば駅」、近鉄・阪神「大阪難波駅」から徒歩2分 JR「難波」駅から徒歩6分 |
今回、三菱地所が取得したとみられる大阪市中央区道頓堀2丁目の敷地面積は約2,000㎡。
容積率が500%ですが、総合設計制度により容積率は900%まで緩和される可能性があります。
仮に高級ホテルを想定した場合、1室あたり50㎡程度の客室を設けると、ロビーやレストラン、廊下などの共用部を含めると客室数は約200室規模となります。
当ブログの試算では、この規模のホテルで土地・建設費・運営費を考慮すると、1室あたり宿泊単価が10万円前後でなければ採算が合いません。
しかし、道頓堀という立地でその価格帯の宿泊需要を安定的に確保するのは極めて難しいです。
したがって、ホテル単独での開発は採算的に成立しにくいと考えられます。
また、周辺環境には休憩利用型ホテルが多く、高級マンションとしてのブランディングも困難です。
こうした条件を踏まえると、最も現実的なのは、「ホテルとマンションの中間」的な形態──ホテルコンドミニアム方式です。
この方式では、ホテルの客室を「所有権」ではなく「利用権」として投資家に販売し、
運営会社がホテルを管理・運営しながら、宿泊収益の一部を投資家に還元します。
仮にマンション扱いとした場合、容積対象外の部分(共用部など)を含めた総延床面積は約2万㎡となります。
1室の所有権(または利用権)を10分割し、10万ドル(約1,500万円)×10名に販売=1.5億円(1室)とすると、全200室で総額300億円規模の販売収入が見込めます。
さらに、ホテルの運営収益の20〜40%が投資家に分配されるモデルであれば、土地取得コストの高さを吸収しつつ、事業としての採算も十分成立する可能性があります。
道頓堀という観光拠点で、外資系富裕層やアジア投資家をターゲットにした新しいタイプのホテル投資商品─それが今回の「道頓堀2丁目ホテル計画(仮称)」の実像に最も近いと、当ブログでは見ています。

北から撮影

東から撮影(手前の駐車場は別敷地)

2023年11月(南東から撮影)

2023年11月(南から撮影)

2023年11月(北から撮影)

2022年11月(南東から撮影)

2022年4月(南東から撮影)

2022年4月(南から撮影)

2022年4月(東から撮影)

2022年4月(北から撮影)
| 施設名 | 旧ニュージャパン難波店 |
| 所在地 | 大阪市中央区道頓堀2-3-28 |
| 敷地面積 | 約2,160㎡ |
| 階数 | 地上9階・地下1階 |
| 営業終了 | 2019年3月31日 |
| 解体 | 大和ハウス工業 |
| 解体完了予定 | 2020年7月 |
- 「ニュージャパンなんばビル」(サウナと飲食店)は築60年と老朽化し、2019年3月31日に閉館した。
- 2019年7月、リーガル不動産が100億円弱でニュージャパン観光から取得したと報道された。
以下は過去の情報です。

解体工事現場に掲示されている広告「YANUSY(ヤヌシー・家主)」はリーガル不動産とZUUが共同で運営する「賃貸不動産のオーナー向け情報サイト」で、本物件も投資用不動産として再開発されると思われる。
大阪市内ではビジネスホテルが多数建設されているが、訪日外国人向けの3人~4人対応のキッチン付きコンドミニアムは少ない。したがって、客室面積30㎡~50㎡の長期滞在用の投資用コンドミニアムなどになるのではないか?
