
英インターコンチネンタルホテルズグループ(IHG)は2025年12月18日、2029年にユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ/大阪市)隣接地で大型ホテルを開業すると発表しました。
2025年12月に本格着工し、2029年に竣工する予定です。
本計画は、2棟・3ブランドで構成される大規模ホテル開発です。
ホテル構成
西棟(左側)
- インターコンチネンタル:244室
- ホリデイ・イン ホテルズ&リゾーツ:327室
東棟(右側)
- キンプトン:246室
3ホテル合計の総客室数は817室となり、USJエリアでも屈指の規模となります。
建物概要
- 階数:地上14階建
- 高さ:約60m
- 延床面積:約10万㎡
- 設計・施工:鹿島建設
建築・空間構成の特徴
- 2つのホテル棟は空中デッキで接続される計画
- 上層2フロアは階高が高く設定されており、プレミアムフロアになる可能性が高い
ラグジュアリー(インターコンチネンタル、キンプトン)とミッドスケール(ホリデイ・イン)を組み合わせた構成は、訪日観光客の多様な需要を一体的に取り込む戦略といえます。
USJ周辺エリアの宿泊キャパシティとブランド力を大きく引き上げるプロジェクトとして、今後の詳細発表にも注目したいところです。

本ホテルから約5km西に位置する大阪湾の人工島・夢洲では、2030年秋にカジノを含む統合型リゾート(IR)が開業予定です。
IRの開業により、新たな富裕層や国際的なビジネス客の来阪が増加し、USJ周辺の高付加価値ホテルにも宿泊需要が波及すると推定されます。
また、JR西日本は桜島線の延伸構想を検討中で、将来的にはUSJエリアと夢洲を鉄道で結ぶ可能性もあります。
この延伸が実現すれば、新ホテルとIRを結ぶ動線が強化され、観光・MICE・カジノ需要を一体的に取り込む立地となるでしょう。
もっとも、現時点ではあくまで構想段階にとどまっており、開通時期は早くても2040年頃と予想されます。
短期的な影響は限定的ですが、中長期的にはUSJ―夢洲軸の形成が大阪湾岸エリアの価値を押し上げる要因となる可能性があります。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン側

2023年12月(東から撮影)
事業スキーム(所有と運営の分離)
本計画において、IHGはホテルの運営に特化し、土地および建物は別法人が保有するスキームが採用されています。
土地・建物を所有するのは、鹿島建設、日本郵政不動産、SMFLみらいパートナーズ、京阪神ビルディングの4社が出資する合同会社です。
開発・保有と運営を切り分けることで、リスク分散と専門性の最大化を図る典型的な大型ホテル開発モデルといえます。
また、鹿島建設は、合同会社桜島開発を営業者とする匿名組合において、2023年3月時点で議決権の100%を保有していました。
この点から、鹿島建設が本プロジェクトの主導的立場で企画・開発を進めてきたことがうかがえます。

2023年12月(西から撮影)

位置図
アクセスは、JR桜島線「ユニバーサルシティ駅」から徒歩6分。
地図
| 施設名 | (仮称)OSAKA SAKURAJIMA RESORT |
|---|---|
| 入居ホテル | インターコンチネンタル(244室) キンプトン(246室) ホリデイ・インリゾート(327室) |
| 所在地 | 大阪市此花区桜島1丁目506番・507番(地番) |
| 用途 | ホテル・駐車場 |
| ホテル付帯施設 | レストラン、プール等 |
| 敷地面積 | 17,246.12㎡ |
| 建築面積 | 11,153.67㎡ |
| 延床面積 | 100,494㎡ |
| 容積対象面積 | 85,313.06㎡ |
| 客室数 | 817室(3ホテル合計) |
| 階数 | 地上14階・地下1階 |
| 高さ | 59.98m |
| 構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造 |
| 建築主 | 合同会社桜島開発 (鹿島建設、日本郵政不動産、SMFLみらいパートナーズ、京阪神ビルディングが共同出資) |
| ホテル運営 | IHG・ANA・ホテルズグループジャパン |
| 設計 | 鹿島建設 |
| 施工 | 鹿島建設 |
| 着工 | 2024年7月(本格着工2025年12月) |
| 竣工 | 2029年(当初予定2027年10月) |
| 開業 | 2029年 |
| アクセス | JR桜島線「ユニバーサルシティ駅」から徒歩6分 |

建築計画のお知らせ

立面図

配置図
ホテル概要
- インターコンチネンタル ホテル(244室): オールデイダイニング、ロビーバー&ラウンジ、日本式浴場・ジャグジー、フィットネスジム、ルーフトップ プール、宴会場と会議室(4室)を含むミーティング&イベントスペース
- キンプトン ホテル(246室): オールデイダイニング、ルーフトップ スペシャリティ レストラン、デリ/カフェ、フィットネスジム、屋内プール、会議室(4室)を含むミーティング&イベントスペース
- ホリデイ・インリゾート(327室):オールデイダイニング、デリ/カフェ、キッズクラブ、ゲームルーム、屋内プール、キッズプール

当ブログで加筆
本施設は14階建て・高さ約60mで、平均階高は約4.3mとなります。一般的なビジネスホテルの階高が約3mであることを踏まえると、本施設は比較的グレードの高いホテルになると考えられます。
建物は2棟のホテル棟で構成されており、立面図から判断すると、両棟は空中デッキで接続される計画のようです。また、上層部の2フロアは他の階と比べて階高が高く設定されていることから、プレミアムフロアとして位置付けられる可能性が高いと予想されます。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン側
右側に見える「ホリデイ・イン リゾート」は、下層階に窓が設けられていないことから、駐車場として利用される可能性がありそうです。

2023年12月(西から撮影)

2023年12月(北から撮影)

建設予定地からの東方向を撮影
公益財団法人「大阪府都市整備推進センター」(大阪市)は2023年3月10日、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の隣接地で募集していた整備事業者として、合同会社「桜島開発」(東京)を選定したと発表した。

全体の土地面積3.9haのうち、東側(約1.9ha)の開発を合同会社「桜島開発」が担当し、遊歩道やテラス、ピクニックのできる緑地などを2028年までに整備する。
出典 大阪市
此花西部臨港緑地エリアの全体3.9haのうち東側1.9haはすでに合同会社桜島開発が開発を担当することは決定しており、今回のホテル建設計画は西側1.7haとなる。
ただし、公表されている面積では、0.3ha分計算が合わない。
