阪急電鉄は、同社初となる座席指定サービス「PRiVACE(プライベース)」を2024年7月から京都線に導入する。
阪急電車の経営戦略を考察
座席指定サービス「PRiVACE(プライベース)」の料金は500円で40席なので1運行当たりの売上高は2万円になる。
最終的に1時間6本運行(午前6時~午後10時と仮定)で1日上下で192本運行する予定なので、1日の売上高は384万円、年間で約14億円になる。
しかし、阪急電車の年間の鉄道事業の売上高は897億円(2023年3月期)なので、座席指定サービスの売上高は最大で全体の1.6%にしかならない。
したがって、座席指定サービスの導入の主目的は、鉄道収入以外にあると予想される。
近年の状況
2019年3月期の阪急電車の鉄道売上高は1,026億円だったので、2023年3月期(897億円)は87%しか回復していない。
大阪市内のタワーマンションが人気
最近は大阪市内のタワーマンションが人気となっており、郊外に住む人が以前よりも減少する可能性がある。
リモートワークの普及
大企業ではリモートワークが普及しており、利用率が1割~3割で、その分、鉄道利用者が減少する。
まとめ
近年の状況は、郊外の住宅から都心のオフィスへ電車で通勤する人が減少する可能性がある。
客数が増えないのであれば客単価を上げるしかないが、そもそも、鉄道会社は鉄道収入の利益は少なく、沿線の不動産開発で利益を出す構造になっている。
したがって、鉄道収入を増加させるよりも、沿線の不動産の付加価値を高めるために「座席指定サービス」を導入するのだと思う。
阪急阪神MEETS
2024年4月撮影(阪急「大阪梅田駅」改札外2階)
阪急阪神不動産は、阪急大阪梅田駅の改札外に「阪急阪神MEETS」を2024年3月1日オープンした。
阪急阪神不動産などが販売したマンション、戸建て、賃貸マンション入居者などが利用できる「HOC Premium Lounge」を設置した。
やはり、阪急沿線の不動産の付加価値を高める経営戦略と思われる。
PRiVACE(プライベース)概要
サービス名 | PRiVACE(プライベース) |
区間 | 京都線(大阪梅田駅~京都河原町駅) |
路線長 | 47.7km |
所要時間 | 42分 |
料金 | 運賃とは別に、座席指定料金500円が必要
大阪梅田=京都河原町の運賃 運賃410円+指定席500円=910円 |
ポイント制度 | 導入予定(次回以降の乗車に利用できる) |
導入時期 | 2024年7月 |
列車種別 | 京都線の特急系列車
(特急・通勤特急・準特急) |
列車形式 | 新型特急車両2300系
現行の9300系の一部車両 |
運行本数 | 2024年7月の導入当初は1時間あたり2~3本
2025年頃には1時間あたり4~6本 |
車両数 | 1編成で1車両のみ有料指定席を設定
(大阪方から4両目) |
座席数 | 40座席 |
座席配列 | 横2席+1席 |
アテンダント | 専属アテンダントが添乗する |
扉枚数 | 片側1枚扉 |
予約・購入方法 | 専用のWEBサイトから予約
専属アテンダントからも購入できる |
設備 | 全席に電源コンセントを設置
Wi-Fi環境を整備 リクライニグ可能 防犯カメラ 空気清浄機 |
停車駅
- 大阪梅田駅 :(特急〇・通勤特急〇・準特急〇)
- 十三駅 :(特急〇・通勤特急〇・準特急〇)
- 淡路駅 :(特急〇・通勤特急×・準特急〇)
- 茨木市駅 :(特急〇・通勤特急〇・準特急〇)
- 高槻市駅 :(特急〇・通勤特急〇・準特急〇)
- 長岡天神駅 :(特急〇・通勤特急〇・準特急〇)
- 桂駅 :(特急〇・通勤特急〇・準特急〇)
- 西院駅駅 :(特急×・通勤特急〇・準特急〇)
- 大宮駅駅 :(特急×・通勤特急〇・準特急〇)
- 烏丸駅 :(特急〇・通勤特急〇・準特急〇)
- 京都河原町駅 :(特急〇・通勤特急〇・準特急〇)
座席
- 配席は3列(2列+1列)
- リクライニングに座面が連動する機構を採用
- 収納式テーブル
- ドリンクホルダー
- 荷物用フック
- マガジンラック
- 読書灯
- コンセント
リクライニングのイメージ
イラストを見る限り、リクライニング幅は10cm~15cmと予想される。
リクライニングに座面が連動するタイプとは、「座面が前に出てくる」シートかもしれない。
京阪「プレミアムカー」のシートピッチは1,020mmなので、阪急のシートピッチも1,000mm~1,100mm程度と予想される。
ちなみに、東海道新幹線の普通車のシートピッチは1,040mm。
室内デッキのイメージ
外観イメージ
新型特急車両2300系の外観イメージ