産経新聞によると「兵庫県が香港拠点の外資系金融機関を誘致する」
引用 https://www.sankei.com/west/news/210217/wst2102170021-n1.html
国際金融都市構想とは、香港で国家安全維持法が施行されたため香港から流出する国際金融機関の受け皿として「国際金融センター」を日本の都市に誘致するもので「東京」「大阪(神戸)」「福岡」が候補にあがっている。
兵庫県の立場
SBIホールディングス北尾吉孝社長は、大阪と神戸が連携して国際金融都市を誘致することを提案している。
兵庫県の井戸知事も、兵庫県単独では東京や福岡との誘致競争に勝てないと見て「大阪との協力」を模索している様子。
大阪府の立場
吉村大阪府知事は「船頭が多くても方向性は定まらない」として、大阪府独自でデリバティブ(先物取引など金融派生商品)市場に特化した国際金融センターを目指す方針。
外国人税制優遇特区構想
日本の最高所得税は45%と住民税10%の55%だが、シンガポールの所得税は22%で株式売却益(キャピタルゲイン)は非課税となっている。
したがって、日本に国際金融機関を誘致するために、金融取引にかかわるファンドマネージャーの報酬を「株式売買益などの金融所得」と見なし税率20%とする計画もある。
当ブログの考え
例えば、外資系金融機関のトップの年収が10億円なら、日本では5億5000万円課税(所得税45%+住民税10%)される。
したがって、日本に国際金融都市を誘致するなら所得税率をシンガポール並みの約20%まで軽減する必要がある。
それが実現すると都市としては繁栄するかもしれないが、中身を見ると年収10億円でも税率20%しか払わない外国人特権階級が贅沢するだけではないか?
そして、外資系ファンドは不動産を証券化し売買するので、不動産の流動性が高まり、不動産価格が大幅に上昇すると予想される。
実際、香港やシンガポールの70㎡程度のマンションの家賃は月額100万円になっている。
大阪が国際金融都市の誘致に成功しても、大阪都心のタワーマンションの平均価格1億円と突破し、日本人が購入できない事態になるかもしれない。
住宅を購入できないと賃貸に住むしかないが、それも外資系ファンドが賃貸マンションを棟ごと買収し、ファミリータイプでも月額家賃50万円~100万円になるかもしれない。
香港やシンガポールでは実際にそうなっており、高額の家賃を払えない地元の人間は住環境の悪い安い公営住宅に住むしかない状態になっている。
外資系ファンドの実態
外資系ファンドは「日本で大きな利益と安い税率」を求めているだけで、日本の発展に寄与する考えは全くない。
例えば、日本企業が外資系ファンドに1,000億円の優先株を発行し、1年後に外資系ファンドから1,500億円で買い戻すことがあるだろう。
日本の出資法の上限金利は20%だが、外資系ファンドの「優先株の発行と買い戻しというスキーム」では実質金利50%となる。
当ブログの考え2
国際金融都市の誘致に成功し数兆円という余剰資金が日本の住宅市場に流入すれば、不動産価格が高騰し住民は生活苦になってしまう。
金融のプロが「国際金融都市の誘致に成功すれば、都市が発展しますよ」と言う甘い言葉で、金融の素人の知事をそそのかしているだけだ。
大阪府が、兵庫県と「国際金融都市誘致」で協力するならば「外国人優遇税制や日本人が不利益を被らないプラン」を見極める必要がある。
しかし、兵庫県からは「具体的な国際金融都市のイメージ」も提案されていない。
したがって、今の段階では大阪府は兵庫県と協力しようと思っても「兵庫県の計画」が明らかでない以上協力のしようがない。
吉村大阪府知事は、大阪府独自でデリバティブ(先物取引など金融派生商品)市場に特化した国際金融センターを目指す方針だ。
しかし、大阪府内の大学でデリバティブ(先物取引など金融派生商品)を勉強できる学部があるんですか?
結局、日本人にデリバティブ(先物取引など金融派生商品)知識がないなら、外資系ファンドが赤子の手をひねるように、簡単に日本の富を奪取するだけではないか?
まずは、大阪府内にデリバティブ(先物取引など金融派生商品)を勉強できる学部を設置すべきではないか?
吉村知事は「兵庫県とは協力しない」と言うのではなく「兵庫県からの具体的提案があれば検討する」くらいの余裕を見せればいいと思う。
海外では、デリバティブズ(Derivatives)と言うが、日本国内では「デリバティブ」という用語が一般的なので記事中では「デリバティブ」と記載しました。