出典 国土交通省
2018年9月4日の台風21号による高潮で関西空港のA滑走路は約50cm冠水(浸水)し空港が閉鎖となった。
9月7日に被害の少なかった「B滑走路」と「第2ターミナル」を使用し、国内線が運航再開した。
9月14日には、「A滑走路」と「第1ターミナルの南側」が再開された。
また、神戸空港や伊丹空港に国際線を振り分ける予定となっている。
第1ターミナルビル(A滑走路)
- 9月21日 第1ターミナル 全面再開予定
- 9月18日 JR・南海電鉄 運航再開
- 9月14日 ANA 運航再開
- 9月14日 JAL 運航再開
- 9月14日 ルフトハンザ航空 運航再開
- 9月14日をめどにA滑走路(3,500m)と第1ターミナルビルの使用を再開する
- 再開当初は通常の50%の便数となると見られる。
- 第1ターミナルビル地下1階機械室の6台の電源設備のうち3台が水没した。今後は生き残った3台と損害の軽微な1台を修理し合計4台でターミナルビルの再開を目指す
- 航空機に燃料を給油する地下設備も水没しており、9月中旬を目途に復旧する方針
- 9月7日現在、滑走路・ターミナルの浸水は解消したが、ターミナルビル地下は最大3m浸水
関空第2ターミナルビル(B滑走路)
- 9月12日 ジェットスター国内線を運航。
- 9月12日 チェジュ航空(韓国) ソウル便4便を運航。
- 9月9日 春秋航空(中国)が9便の運航を開始する。
- 9月9日~13日 ピーチ国内線20~22便、ピーチ国際線10~11便を運航し、通常の9割まで回復する。
- 9月8日には国際線と国際貨物便も運航を再開する予定。国内線31便、国際線12便の合計43便。
- 9月7日に被害の少なかったB滑走路とターミナル2の使用を国内線の運航を再開した。ピーチ国内線(出発6便 到着11便)とJAL国内線(1往復2便)の合計19便。
関空連絡橋
- 全線開通は2019年4月末~5月(ゴールデンウィーク頃)
- タンカーが関空連絡橋に衝突したが、9月7日は片側3車線道路に中央分離達を設置し、上下1車線づつの40km/h対面通行で再開した。
- 当面「リムジンバス」や「貸し切りバス」のみ通行可能でマイカーは通行できない
アクセス鉄道
- 連絡橋の鉄道線路は約50cm横ずれしている。9月12日~14に損傷した道路桁を撤去し、その後、鉄道線路の復旧作業に入る。9月18日に運行を再開した。
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関空が本格的に復旧するまで、国際線を含む関空便を「神戸空港」と「伊丹空港」に振り替えるため地元自治体を調整する方針。
神戸空港
現在「7:00~22:00」の営業時間を「6:00~23:00」に延長する。
関西エアポートは1日30便の移管が可能としている。
伊丹空港
現在「7:00~21:00」の営業時間を「7:00~22:00」に延長する。
関西エアポートは1日40便の移管が可能としている。
但し、周辺自治体は伊丹空港の営業時間延長には反対で、現在の営業時間内で1日32便(夏季繁忙期の増便枠と同じ)の増便及び国際線就航を容認する方針。
大阪(伊丹)空港の航路直下の住民でつくる「川西市南部地区飛行場対策協議会」(兵庫県)は7日、台風21号の影響による関西空港便の振り分けについて、「(住民と)話し合いもないままに物事を進めることは納得できない」とする抗議文を発表した。
引用 産経新聞 http://www.sankei.com/west/news/180907/wst1809070097-n1.html
2011年3月11日の東日本大震災の津波により約3.4m浸水した仙台空港は33日後に運航を再開した。
関空についても約1ヵ月で年間1,000万人~1,500万人規模まで回復する可能性がある。
しかし、2017年度の年間2,880万人規模まで回復するのは3ヵ月後程度かかると当ブログでは予想している。
神戸空港に国際線を乗り入れるためには、設計と調整で1ヵ月、改修に1ヵ月~2ヶ月かかると思われる。
現在のボーディングブリッジを国際線と国内線に共用するか、沖止め(バスアクセス)すると思われる。
伊丹空港に国際線を乗り入れするには、2018年4月まで使用していたJALターミナル1Fを国際線出発施設とし、ANAターミナル1Fを国際線到着施設に改修すると思われる。
設計と調整に2ヶ月、施工に4ヶ月の合計6ヵ月でLCCのような簡易施設が完成すると思われる。
当ブログの試算では、関空の復旧に注力すれば3ヵ月で以前と同じように運用できると思われるので、神戸や伊丹に国際線を振り分けるのは無駄と思われる。
さらに、大手エアラインの国際線はエコノミーは満席でもビジネスクラス・ファーストクラスの搭乗率が低いと赤字となる。
伊丹空港にファーストやビジネスクラスラウンジを設置するとなると、最低でも1年後かかる。
また、国際便は旅客機に下部に貨物を積載して、収益を安定させている。貨物便なしの場合、損益分岐点が上がって旅客運賃も高く設定しないといけない。
国際貨物便を搭載するには、保税上屋(倉庫)が必要で、完成するまでに2年はかかる。
関空・神戸空港・伊丹空港の役割を変更するためには、関経連が「関西3空港懇談会」を開催することになっている。
しかし、神戸空港は高度300mで飛行し、180度Uターン着陸するときもあり、安全性に懸念がある。
伊丹空港についてもILSが使用できるのはB滑走路の南進入(32L)のみでA滑走路(32R)や逆発進(14R・14L)の場合はILSが使用できない。
2005年発生したJR西日本の福知山線脱線事故では、直線の線路を半径600mの曲線に変更したことで、歴代3社長が起訴された。
無罪になったものの、会社トップが刑事被告人になったことは関西財界人にとってトラウマとなっている。
関経連が神戸空港、伊丹空港の規制緩和を認めて、事故が起きた場合、関経連幹部が刑事被告人となる可能性が高い。
そのため、ILSが使えない着陸コースが設定されている神戸空港、伊丹空港に国際線乗り入れを認める可能性は低い。
一早く災害復旧させ関西経済を活性化させたいという気持ちは理解できる。
しかし、小手先の中途半端な対策は長期的に見れば関西経済を弱体化させるだけだ。
例えば、1994年の阪神淡路大震災のとき、そごう神戸は改修し、いち早く開業した。しかし、現在では、建物の老朽化により、1,500億円あった売上は500億円以下に落ち込んでいる。
一方、大丸神戸店は震災後、時間はかかるが建替えした結果、現在でも売上約900億円を維持し「そごう神戸店」を上回る業績となっている。
伊丹・神戸への一時的な国際線移転は、長期的に見ると、関西の経済を悪化させるだけの愚策だ。
災害時に、リーダーはどっしり構えて、長期的視野から復興計画を策定すべきだ。
それに、関空の復旧を担当する人は、「関西のために一日でも早く復旧する」という使命感を持って働いている。
しかし、伊丹や神戸に国際線を移転するとなれば、関空の復興に対するもチベーションが下がる。
松井知事はリーダーとしては失格だろう。
関空の完全復活(年間利用者2,880万人)は早ければ3ヵ月後に可能だ。
しかし、伊丹に国際線を移転した場合、半年後にLCCターミナルのような簡易施設で年間利用者500万人程度にしかならない。
マンパワーを関空の復旧に集中することが最善の策だ。
関空B滑走路は5mの高潮にも耐えたので、関空2期島に本格的ターミナルビルを建設すべきた。
また、現在の第2ターミナルの国際線の隣接地にターミナル拡張できる用地があるので。伊丹や神戸空港に投資するよりも第2ターミナルを拡張すべきだ。
ターミナル | 処理能力(合計) | 国内線処理能力 | 国際線処理能力 |
T1 | 2,500万人 | 1,300万人(開業時) | 1,200万人(開業時) |
T2 | 835万人 | 550万人 | 285万人 |
合計 | 3,335万人 | 1,850万人 | 1,485万人 |