2025年の大阪・関西万博が迫る中、建築界がいま何を考え、どんな未来像を描いているのか――
その現在地を最も包括的に示しているのが、「新建築 2025年12月号」だ。
博会場の建築、パビリオン群、都市インフラ、レガシー(遺産)構想、さらには若手建築家の取り組みまで、多層的に収録している。単なるイベント紹介ではなく、“万博を通じて都市と建築がどう変わるのか” を深掘りした、まさに保存版の特集である。
万博は何を変えるのか?──藤本壮介が語る「当事者性の回復」
巻頭を飾るのは、建築家・藤本壮介による論考「時代をつくる 万博がもたらした当事者性」。
ここで藤本は、万博を単なる巨大イベントとしてではなく、建築家や市民が“都市の未来に関わる当事者”として意識を持ち直すきっかけになると語る。
- 大規模構造の挑戦
- 資源循環型の建築思想
- 未来に残す建築と都市像
- 参加者主体の空間づくり
万博は、建築家だけでなく、工事関係者、行政、市民、企業など、あらゆるアクターが都市をどう作るかを再学習する場であり、「都市を考え直すための巨大なワークショップ」と位置づけられているのが印象的だ。
そして「最新プロジェクト」──高輪ゲートウェイや広島駅ビルも収録
万博特集に加え、都市開発の最新事例も同時収録されている。
- 高輪ゲートウェイシティ「THE LINKPILLAR 1」
- ニュウマン高輪
- 広島駅南口ビル
これらは万博とは別軸でありながら、日本の都市がどう進化しているのかを俯瞰するための重要な事例だ。
まとめ:都市をどう継承するか――建築界の“いま”を凝縮した一冊
今号の最大のテーマは、
「万博後」にこそ価値を残す建築とは何か?
という問いである。
大屋根リング、パビリオン群、夢洲駅、素材循環、若手の思想…。
それらを横断的に読み解くと見えてくるのは、単なるイベント建築を超えた、未来の都市をつくるための挑戦の集積だ。
大阪・関西万博を「建築」から理解したい人には、間違いなく必読の内容である。
PR
