
「中国人観光客が減っているため、百貨店やインバウンド消費は今後厳しくなる」
そんな声を耳にすることがあります。しかし、2026年5月に発表された主要百貨店の売上速報を見る限り、そのような状況は確認できません。
むしろ、多くの百貨店では前年を大きく上回る売上を記録しており、中国以外のインバウンド需要は引き続き堅調であることが分かります。
2026年5月の既存店売上高(前年同月比)は以下の通りです。
| 企業 | 既存店売上高 |
|---|---|
| エイチ・ツー・オーリテイリング | 115.1% |
| 高島屋 | 112.1% |
| 三越伊勢丹 | 104.4% |
| 大丸松坂屋百貨店 | 99.9% |
4社のうち3社が二桁成長を達成しており、特に関西圏の好調さが目立ちます。
- 阪急うめだ本店:117.0%(前年同期比)
- 阪神梅田本店 :126.2%(前年同期比)
- 大阪店 :110.3%(前年同期比)
- 京都店 :121.0%(前年同期比)
- 日本橋店 :112.3%(前年同期比)
- 横浜店 :111.2%(前年同期比)
- 新宿店 :111.0%(前年同期比)
特に京都店の121.0%は驚異的な数字です。
京都市内ではホテル建設が続き、外国人観光客も過去最高水準で推移していることから、その恩恵を受けていると考えられます。
- 大丸 心斎橋店 :+12.7 %(前年同期比)
- 大丸 梅田店 :▲39.1%(前年同期比)
- 大丸 京都店 :+9.8%(前年同期比)
- 大丸 神戸店 :+11.6%(前年同期比)
- 大丸 東京店 :+6.6%(前年同期比)
- 松坂屋 名古屋店:+4.4%(前年同期比)
一見すると、大丸梅田店の大幅減少が気になります。
しかし、大丸梅田店は売場面積の縮小やフロア再編が進められており、単純に需要減少が原因とは考えにくい状況です。
実際に同じ大阪駅周辺では、
- 阪急うめだ本店:117.0%
- 阪神梅田本店:126.2%
と大幅増収となっています。
もし本当にインバウンド需要が急減しているのであれば、同じエリアに立地する阪急や阪神も同様に苦戦しているはずです。
近年、中国経済の減速や訪日旅行の変化を理由に「中国人観光客が減少している」と指摘する声があります。
しかし百貨店の売上データを見る限り、その影響は限定的です。
そもそも現在の訪日外国人市場は、中国だけに依存する構造ではありません。
中国本土に加え、
- 台湾
- 韓国
- 香港
- タイ
- シンガポール
- 欧米豪諸国
など、多様な国・地域から観光客が訪れています。
また、中国人観光客についても「爆買い」が減っただけであり、日本旅行そのものの人気がなくなったわけではありません。
高級ブランド品や化粧品、時計、宝飾品などを中心に、依然として百貨店売上を支える重要な顧客層です。
大阪・京都では、
- 関西国際空港の国際線拡大
- ホテル供給の増加
- 大阪・関西万博開催効果
- 円安による日本旅行の割安感
などが追い風となっています。
今回の百貨店売上を見る限り、少なくとも2026年5月時点では「中国人観光客の減少で百貨店が苦戦している」という状況は確認できません。
むしろ、関西の主要百貨店は力強い成長を続けており、インバウンド消費は引き続き拡大基調にあると考えられます。
2026年5月の百貨店売上速報を見ると、
- 阪急阪神百貨店:115.1%
- 高島屋:112.1%
- 三越伊勢丹:104.4%
と好調な企業が多数を占めました。
大丸松坂屋百貨店は99.9%でしたが、大丸梅田店のフロア縮小という特殊要因が大きいと考えられます。
少なくとも現時点では、「中国人観光客の減少で百貨店売上が落ちている」というよりも、「訪日観光客全体の増加によって売上が押し上げられている」と見る方が実態に近いのではないでしょうか。
関西の百貨店は、引き続きインバウンド需要の恩恵を受けながら成長を続けているようです。
