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大阪市の1人当たり雇用者報酬は政令指定都市で全国1位 ― 「稼げる都市・大阪」の実力

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「大阪は東京より給料が安い」

そのようなイメージを持つ人は少なくありません。しかし、今回の統計を見ると意外な結果が浮かび上がります。

令和3年度(2021年度)の1人当たり県民雇用者報酬を見ると、大阪市は603万円となり、政令指定都市で全国1位となっています。

 

政令指定都市ランキング 令和3年度(2021年度)
順位 都市 1人当たり雇用者報酬(千円)
1 大阪市 6,030
(参考) (東京都) 5,821
2 浜松市 5,739
3 神戸市 5,469
4 川崎市 5,337
5 仙台市 5,310
6 名古屋市 5,261
7 千葉市 5,232
8 横浜市 5,144
9 京都市 5,108
10 福岡市 4,968
11 広島市 4,849
12 北九州市 4,684
13 新潟市 4,670
14 札幌市 4,597
15 岡山市 4,520
16 堺市 4,041

※東京都は政令指定都市ではありませんが、比較対象として掲載しています。

引用 内閣府 県民経済計算(平成23年度 – 令和3年度)

 

「雇用者報酬」とは何か

雇用者報酬とは、企業などから従業員へ支払われる

  • 給与・賞与
  • 各種手当
  • 社会保険料の事業主負担分

などを含めた報酬の総額を、雇用者1人当たりで算出したものです。

単純な平均年収とは異なりますが、その地域で働く人がどれだけ高い付加価値を生み出しているかを示す重要な指標の一つです。

「雇用者報酬」と「県民所得」は何が違うのか

今回紹介した「1人当たり雇用者報酬」は、会社員や公務員などの雇用者が受け取る給与・賞与に加え、社会保険料などの会社負担分も含めた報酬を1人当たりで算出した指標です。

つまり、「働く人」の所得水準を把握するのに適したデータと言えます。

一方、「県民所得(市民所得)」は、雇用者だけでなく、企業所得や自営業者の所得なども含まれ、さらに人口全体で割って算出されるため、高齢化の影響を受けやすいという特徴があります。

そのため、高齢者が多い都市では、年金生活者が増えることで1人当たり所得が低く算出される傾向があります。

 

1人当たり県民所得の問題点

「1人当たり県民所得」と聞くと、「県民一人ひとりの個人の平均所得」や「会社員の平均年収」のことだと思われがちです。しかし、実際にはそのような指標ではありません。

県民所得は、雇用者報酬(給与など)だけでなく、企業の利益や財産所得も含めた地域全体の所得を人口で割って算出する経済指標です。さらに、県民所得は属人主義で集計されるため、企業が海外や県外で稼いだ利益や配当なども、その企業や個人の帰属先に計上されます。

例えば、東京都は大企業の本社が集中しているため、国内外で稼いだ企業利益や配当所得が県民所得を大きく押し上げています。

一方、愛知県のように製造業が集積する地域(人口が少ない農村部)では、大規模工場が生み出す付加価値や企業所得が県民所得を押し上げるため、人口に対して高い水準となる傾向があります。

このように、1人当たり県民所得は、企業所得や財産所得なども含めた地域全体の所得を人口で割った経済指標であり、住民の給与水準や生活実態を直接表すものではありません。

そのため、「普通の会社員がどれだけ稼いでいるか」を比較するのであれば、企業の利益や配当の影響を受けにくい雇用者報酬や平均給与などの指標もあわせて確認することが重要です。

大阪市の実力は「県民所得」では実力が見えにくい

大阪市では、都心部にも古くからの住宅地が多く、高齢になっても住み慣れた地域で暮らし続ける人が少なくありません。

一方、東京都心では近年の再開発やマンション価格の上昇により、都心部から郊外へ転居する高齢者も一定数存在します。

この違いから、大阪市は都心部に年金生活者が比較的多く居住しており、県民所得では平均値が押し下げられやすい構造があります。

しかし、「雇用者報酬」は実際に働く人を対象とした指標であるため、高齢者人口の影響を受けにくく、大阪市のビジネス都市としての実力をより正確に反映していると考えられます。

実際、令和3年度(2021年度)の1人当たり雇用者報酬では、大阪市は603万円と政令指定都市でトップとなっており、西日本最大のビジネスセンターとして、高付加価値産業や本社機能が集積していることを裏付ける結果となっています。

 

なぜ大阪市が全国トップなのか

大阪市には、高付加価値産業が数多く集積しています。

例えば、

  • 大手商社
  • 金融機関
  • 製薬会社
  • インフラ企業
  • 建設会社
  • 不動産会社
  • メーカー本社
  • コンサルティング会社

など、比較的給与水準の高い企業が集中しています。

また、大阪市中心部には梅田・淀屋橋・本町・中之島といった西日本最大級のオフィス街が広がっており、高度人材が集まりやすい環境となっています。

 

東京都より高いという意外な結果

今回のデータでは、

大阪市:603万円
東京都:582万円

となっています。

「東京の方が給料が高い」という印象がありますが、この統計では大阪市が上回っています。

これは東京都の数値が都全体であり、多摩地域や島しょ部なども含まれる一方、大阪市は大阪府内でも特に企業集積が進む都心部であることが影響していると考えられます。

そのため、「大阪市」と「東京都」を単純に比較して「大阪の方が給料が高い」と結論づけることはできませんが、大阪市の経済力の高さを示すデータであることは間違いありません。

 

今後はさらに伸びる可能性も

大阪では今後、

  • グラングリーン大阪(完成は2027年春)
  • 芝田一丁目地区再開発(2030年代)
  • なにわ筋線(2031年春)
  • 大阪IR(2030年秋)

など、大規模プロジェクトが続きます。

これらの再開発によって高付加価値企業の集積がさらに進めば、雇用者報酬の水準が一段と高まる可能性があります。

特に梅田エリアでは、新しいオフィス供給が相次ぎ、西日本のビジネス拠点としての存在感がさらに強まることが期待されます。

 

関西シティラボの考察

今回の統計で大阪市が政令指定都市トップとなったことは、大阪が単なる商業都市ではなく、高付加価値産業が集積する「稼げる都市」であることを示しています。

今後、梅田を中心とした再開発や新たな企業誘致が進めば、大阪市の経済力はさらに高まり、日本経済を牽引する都市としての役割も一層大きくなるでしょう。

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