神戸空港
神戸空港の運営会社「関西エアポート神戸(神戸市)」は2019年7月4日に、2019年3月期決算を公表した。
それによると、当期純利益は当初計画の「4,900万円の黒字」に対して「3億2200万円の黒字」と大幅に上振れた。
年間利用者は、当初計画313万人に対して319万人と僅かに上回った程度なので、約2億7000万円も黒字額が上振れた理由はよくわからない。
出典 関西エアポート神戸
2018年度 関西3空港決算
項目 | 関西3空港合計 | 神戸空港単体 |
営業収益(売上高) | 2,204億円 | 26億6300万円 |
営業利益 | 573億円 | 5億400万円 |
経常利益 | 461億円 | 3億7200万円 |
当期純利益 | 296億円 | 3億2200万円 |
年間利用者数 | 4,890万人 | 319万人 |
利用者1人当たり当期純利益 | 605円 | 100円 |
発着回数について
以前、神戸空港の離陸便に必要な時間を以下のように試算した。
内容 | 所要時間 |
滑走路手前で待機 | 1分 |
滑走路に進入して待機 | 1分 |
滑走路を離陸するに要する時間 | 2分 |
離陸後~明石海峡までの飛行時間 | 3分 |
空域のクリアランス | 3分 |
合計 | 10分 |
1便当たり、10分かかるので、1時間当たり6便が上限となるとしたが、これは「離陸1機 → 着陸1機 → 離陸1機」の試算です。
今回、さらに「離陸2機 → 着陸2機 → 離陸2機」で試算してみました。
内容 | 所要時間 |
滑走路手前で待機 | 1分 |
滑走路に進入して待機 | 1分 |
滑走路を離陸するに要する時間 | 2分 |
離陸後~明石海峡までの飛行時間 | 3分 |
後続機が2分後に離陸 | 2分 |
空域のクリアランス | 3分 |
合計 | 12分 |
全ての発着機が「2機ずつ離陸と2機ずつ着陸」することは現実にはあり得ないが、試算では12分で2機が離陸でき、1時間だと10機が離着陸できることになる。
運航間隔 | 運用時間 | 1日の発着回数 |
10分に1便(1時間に6便) | 15時間(現行) | 90回(45往復) |
16時間(延長後) | 96回(48往復) | |
12分に2便(1時間に10便) | 16時間(延長後) | 160回(80往復) |
運用時間延長後(16時間)の1日の発着回数の試算は、96回~160回となる。
井戸兵庫県知事が主張する1日120回(18時間運用)というのは、1時間当たり「約6.7便」で、当ブログの試算の範囲内で、実現可能性はあると思う。
今後の増便の見通し
2019年5月の関西産3港懇談会では、2021年までに1日80回(40往復)の増便と、2025年までに国際化を検討することで合意した。
関西エアポートの山谷佳之社長は「(国際線)20~30便飛ばないと、国際空港としての運営は難しい」と、小規模な国際化には反対している。
今後は、100便(50往復)~120便(60往復)程度の増便が予想されるが、国際線を導入すると、国内線の増便余地は少なくなる。
国際線導入
スカイマークは、パラオ、サイパン線への就航を考えている。これは、その路線を独占できるからだろう。
しかし、関西エアポートの山谷佳之社長は、採算面から「20~30便」の就航を最低条件としている。
そうなると、パラオ、サイパン路線だけでなく、ソウル、上海、台湾路線の就航が予想される。
ただ、相手国のエアラインも参入するが、エアラインのラウンジがなく、カードラウンジのみの神戸空港には海外LCCが就航する可能性がある。
そうなると、スカイマークは、運賃的にLCCには対抗できないので、結局、パラオ、サパン路線だけになるかもしれない。
そうなると、神戸空港国際線はかなり難しいのではないか?
運用時間の延長はいつ?
スカイマーク増便路線
路線 | 現行 | 2019年8月1日以降 |
神戸~那覇 | 1日3往復 | 1日4往復 |
神戸~長崎 | 1日3往復 | 1日4往復 |
神戸~茨城 | 1日2往復 | 1日3往復 |
FDA(フジドリームエアライン)新規就航
路線 | 便数 | 就航予定日 |
神戸~松本(長野県) | 1日1往復 | 2019年10月27日(冬ダイヤ) |
神戸~高知 | 1日1往復 | 2019年10月27日(冬ダイヤ) |
神戸~出雲(島根県) | 就航を検討 |
スカイマークの増便は、現在の運用時間(午前7時~午後10時)となっている。
またFDAのハンドリング会社の求人情報では「勤務時間6:00~21:30」となっているので、運用時間の1時間延長と残りの増便枠10便(5往復)は2020年春になるかもしれない。
コメント
神戸空港の年間利用者数は319万人(2018年度)で、2021年度までに20便(10往復)の増便で合意している。
一見順調に見える神戸空港だが、当ブログで決算内容を分析すると、神戸空港の利用者1人当たり当期純利益は100円となる。
関空・伊丹空港・神戸空港全体では、利用者1人当たり605円の当期純利益と比較して少ない。
神戸空港にも、空港施設料の導入が必要ではないか?
さらに、関空や伊丹空港と同じ「着陸料」とし、同条件で競争すべきではないか?
国内線空港施設使用料(2019年)
空港 | 使用料(大人) |
羽田空港 | 290円 |
成田空港 | 440円 |
中部空港 | 310円 |
伊丹空港 | 260円 |
関空(T1) | 430円 |
神戸空港 | 0円 |
国土交通省の平成29年度航空輸送総計では、「羽田空港 – 神戸空港 – 長崎空港」の経由便利用者数は約57万人だ。
経由便が直行便になれば、神戸空港の年間利用者数319万人は一瞬にして、262万人まで減少する。