
大阪では近年、多くの鉄道新線構想が議論されています。その中でも注目を集めているのが、京阪中之島線の延伸構想です。
しかし、本当に今の大阪に必要なのは新たな鉄道路線なのでしょうか。
私はむしろ、2031年春開業予定の「なにわ筋線」の西本町駅と、大阪メトロ四つ橋線本町駅を結ぶ地下通路の整備を優先すべきだと考えています。
なにわ筋線は、大阪駅(うめきた)、中之島、難波、新今宮、関西空港を結ぶ大阪都心の新たな南北軸として建設が進められています。総事業費は約6,500億円(旧計画約3,300億円)、開業目標は2031年春です。
この路線によって関西空港へのアクセス向上や、大阪都心部の鉄道ネットワーク強化が期待されています。
一方で、大きな課題となっているのが、なにわ筋線「西本町駅」です。
現在の計画では、なにわ筋線「西本町駅」は単独駅として整備される予定で、Osaka Metro中央線や四つ橋線との直接接続はありません。
つまり、利用者は地下駅から地上へ上がり大阪メトロ「本町駅」まで約340mを歩かなければなりません。

仮称「西本町駅」(2025年6月)南東方向に撮影
(仮称)西本町駅については、2024年2月に駅本体の工事が始まりました。この駅は、Osaka Metro中央線の本町駅と阿波座駅のほぼ中間に位置していますが、中央線の接続駅は設けられず、なにわ筋線の単独駅となる予定です。

出典 大阪市
大阪メトロ(四つ橋線)本町駅まで

なにわ筋線「西本町駅」から、大阪メトロ(四つ橋線)本町駅の出入口までは約340m、大阪メトロ(中央線)阿波座駅の出入口までは約400mの距離があります。(筆者による試算)
なにわ筋線「西本町駅」は中央大通となにわ筋の交差部付近に設置される予定です。
一方、大阪メトロ四つ橋線「本町駅」は現在の本町交差点付近に位置しています。
両者の距離はおよそ340メートルとされ、徒歩で約5分かかると考えられています。
日常利用ならまだしも、
- キャリーバッグを持ったインバウンド客
- 関西空港へ向かう利用者
- 雨天時の利用者
にとっては決して短い距離ではありません。
しかも、なにわ筋線の西本町駅は地下約30メートルという深い位置に建設される予定です。
ホームから地上レベルまでの移動時間を考えると、実際の乗換時間はさらに長くなります。
京阪中之島線延伸は1,000億円規模の巨大プロジェクトです。
もちろん実現すれば一定の効果はありますが、建設期間も長く、採算性の議論も避けられません。
当ブログの予想では、京阪中之島線は大阪メトロ中央線と相互乗り入れせず、地下駅から高架駅への乗り換え移動が発生すると思われます。
その一方で、なにわ筋線「西本町駅」と四つ橋線本町駅を地下通路で接続するだけでも、大阪の鉄道ネットワークは大きく改善されます。
なにわ筋線利用者は、
- 大阪メトロ四つ橋線
- 大阪メトロ御堂筋線
- 大阪メトロ中央線
へスムーズに乗り換えできるようになります。
特に御堂筋線への接続価値は極めて大きいでしょう。
大阪最大の利用者数を誇る御堂筋線へ直結することで、なにわ筋線の利便性そのものが向上します。
日本の都市鉄道は成熟期に入っています。
そのため、これから重要になるのは単純な路線延伸ではなく、「乗換利便性の向上」です。
東京でも大手町駅や日本橋駅、渋谷駅などで長大な地下通路整備が進められています。
利用者にとって重要なのは路線図上の駅数ではなく、「実際にどれだけスムーズに移動できるか」です。
なにわ筋「西本町駅」と大阪メトロ「本町駅」が地下で直結されれば、
- 梅田
- 本町
- 難波
- 関西空港
を結ぶ新たな大動脈が完成します。
これは単なる通路ではありません。
なにわ筋線の価値を最大化するための「最後のピース」と言えるでしょう。
京阪中之島線延伸も魅力的な構想ですが、限られた予算の中で優先順位を考えるなら、まず整備すべきは「なにわ筋線(西本町駅)=大阪メトロ四つ橋線(本町駅)」の地下通路ではないでしょうか。
1,000億円規模の新線建設よりも、既存ネットワークの結節点を強化する方が、短期間で大きな効果を生み出せる可能性があります。
2031年のなにわ筋線開業を成功させるためにも、なにわ筋「西本町駅」を単独駅のまま放置するのではなく、大阪メトロ「本町駅」との地下接続を実現することが大阪の都市交通戦略において重要な課題になると考えます。
