首都圏の人口はおよそ3,700万人、関西圏は約2,200万人。こう聞くと「やっぱり東日本の方が人口が多い」と思う人が多いでしょう。
しかし視点を変えると面白い事実が浮かび上がります。静岡県(人口約363万人)を西日本に分類して集計すると、実は西日本の方が東日本よりも人口が多くなるのです。(2020年国勢調査)。
ちなみに、静岡県内の電力の供給エリアを見れば、県東部は東京電力、西部は中部電力と分かれており、電話に関してはNTT西日本に属しています。
つまり静岡は「東日本とも言えるし、西日本と言えなくもない」と言う「東西の境界線上の県」なのです。
静岡県を「西日本」に含めた場合
西日本 | 東日本 | ||
関西(2府5県三重県を含む) | 2,231万人 | 南関東(1都3県) | 3,692万人 |
九州・沖縄(8県) | 1,425万人 | 北関東(3県) | 673万人 |
中国(5県) | 725万人 | 北海道(1道) | 523万人 |
四国(4県) | 369万人 | 東北(6県) | 860万人 |
中部(3県)愛知・岐阜・静岡 | 1,315万人 | 甲信越(3県) | 506万人 |
北陸(3県) | 293万人 | ||
合計(30府県) | 6,358万人 | 合計(27都道県) | 6,254万人 |
(静岡県人口363万人を西日本として集計)
静岡県が西日本というのは、違和感を感じる人も多いかもしれない。
そこで、静岡県人口363万人を東日本として集計すると、東日本の方が人口が多くなる。
静岡県を「東日本」に含めた場合
西日本 | 東日本 | ||
関西(2府5県三重県を含む) | 2,231万人 | 南関東(1都3県) | 3,692万人 |
九州・沖縄(8県) | 1,425万人 | 北関東(3県) | 673万人 |
中国(5県) | 725万人 | 北海道(1道) | 523万人 |
四国(4県) | 369万人 | 東北(6県) | 860万人 |
中部(2県)愛知・岐阜 | 955万人 | 甲信越(3県) | 506万人 |
北陸(3県) | 293万人 | 静岡県(1県) | 360万人 |
合計(29府県) | 5,998万人 | 合計(28都道県) | 6,614万人 |
(静岡県人口363万人を東日本として集計)
ただし、同じ静岡県といっても東西で違いがあると思う。
例えば、東部の静岡市は東日本という意識が強く、西部の浜松市は中部(東海)という意識が強いと思う。ただ、浜松市でも西日本という意識は少ないかもしれない。
地質学的区分
- 静岡県の 富士川 が「東日本と西日本の境界」とされることが多い
- → 富士川以東(富士市など)は 東日本
- → 富士川以西(静岡市以西)は 西日本
行政・文化的
- 静岡県全体を「東海地方」に分類するのが一般的
- 「関東の隣」であり、鉄道・経済圏では 東日本寄り
- 文化(食文化・言葉など)は、西日本的要素も混ざる
インフラ上の区分
- JR東海の管轄(→西日本寄り)・ただし在来線「熱海駅」以東はJR東日本・しかし新幹線「熱海駅」はJR東海
- 電力は中部電力60Hz(→西日本寄り)と東京電力エリア50Hz(→東日本寄り)がある
- 電話はNTT西日本(→西日本寄り)
- 高速道路(東名・新東名)は首都圏と直結(→東日本寄り)
結論
- 厳密には「静岡県内で東西が分かれる」(富士川が境)
- 一般的な会話や統計上では 「東日本」とみなされることが多い
-
ただし「電力・鉄道・文化面」では西日本要素もあり、まさに「境界の県」
西日本には、関西圏2,231万人、九州・沖縄1,425万人、中部地方1,315万人と1,000万人以上の都市圏が3つもある。
しかし、東日本には関東圏以外に1,000万人以上の都市圏がない。
つまり、東日本は東京周辺に企業や人口が集中しているが、西日本は広い地域に企業や人口が分散している。
西日本は、東日本のように東京だけ発展するのではなく、分散型で成長してきたし、今後も分散型の成長を目指すべきだと思う。
そのためには、西日本各地は東京との結びつきを強化するだけではなく、西日本全体との連携を強化すべきだと思う。
九州の「西側」には、40億人の世界最大のアジア市場があるわけで、アジア40億人の成長力・経済力を西日本全体で面として受け止めて、西日本全体で連携・循環すれば西日本が発展することは間違いない。
実際、台湾の半導体受託生産メーカー「TSMC(台湾積体電路製造)」が熊本に投資額2兆円の工場を建設している。大阪市内にTSMCの研究開発拠点(将来的に800人)が2022年に開設されている。
地方の首長選挙では総務省(旧自治省)出身の元官僚の候補者が「政府(東京)とのパイプを強化します」と言うことが多い。しかし、そういう首長を選択した都市はほとんど衰退している。
やはり、地に足をつけて近隣県と連携して、さらに「西日本全体」の発展を考えるような「日本全体や世界全体を俯瞰」できる人物を首長に選ばないと都市は衰退する。
関東以北の100万都市は仙台市と札幌市しかなく、東日本全体を俯瞰すれば関東圏以外に大都市は少なく人口も少ない。
関東以外の東日本は、新幹線や高速道路を建設し東京との結びつきを強化した結果、逆に東京に企業や人口が流出し(ストロー効果)経済も衰退している。
今後は、東北=東京の関係だけではなく、関西圏との結びつきを強化することにより、人的交流が立体的になると思う。その結果、東北の観光・産業などの市場規模が拡大するのではないか?
大阪・関西が発展するには、「西日本」との結びつきを強化することが重要だと思う。
しかし、大阪府民は「関西人」という意識は強いが、「西日本」という概念はあまり考えていない。今後は「西日本」という「くくり」で経済や観光を語るべきではないか?
関西圏にも空港を無理やり建設して、東京へのアクセスが便利になり都市が発展すると思ったら、東京に企業や人口が流出した衰退都市がある。
確かに東京へのアクセスは多重化され便利になったが、皮肉なことに「企業流出に便利な空港」「人口流出に便利な空港」になってしまった。
東京への交通アクセスを整備することは重要だが、その都市に魅力がなければ、企業や人口が東京に流出するだけになってしまう。