2027年の開業を目指している「リニア中央新幹線(品川~名古屋)」について、JR東海の金子慎社長が「開業が遅れる可能性」を示した。
引用 朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASM5Z5V2SM5ZOIPE034.html?iref=pc_rellink
区間 | 距離 | 所要時間 | 開業時期 | 総工費 |
品川~名古屋 | 286km | 40分(-50分) | 2027年 | 7兆円 |
品川~新大阪 | 438km | 67分(-71分) | 2037年 | 10.5兆円 |
リニア中央新幹線は、南アルプスに全長25kmのトンネルを建設するが、静岡県の区間(約8.9km)の工事の影響で、大井川の水量が毎秒2トン減少する可能性がある。
これについて、静岡県がJR東海に対して対策を求めており、工事が着工できない状態になっている。
JR東海は、トンネル掘削による湧き水を大井川に戻し、水量の減少を食い止める計画だが、具体的な方法について、静岡県との協議が難航している。
リニアによる増益 | +1,000億円 |
既存新幹線の減便による経費削減 | +1,000億円 |
リニアの維持経費 | -4,000億円 |
合計 | -2,000億円 |
実は、リニアが開通しても、維持費が年間4,000億円かかり、既存新幹線の利益を合計しても、結局、2,000億円の収益が減少すると思われる。
したがって、JR東海にとっては、絶対に2027年に開業しなければならないということでもない。
当ブログでは、JR東海はJR東日本とJR西日本が中央新幹線の一部を建設・所有することを阻止するために「リニア中央新幹線」を建設すると解釈している。
それが正しいならば、JR東海にとって、リニアを着工すれば成功であり、開業はいくら遅くなってもかまわないと思われる。
回 | 借入金 | 利率 | 年間支払い金利 |
第1回 | 5,000億円 | 0.6% | 30億円 |
第2回 | 5,000億円 | 0.8% | 40億円 |
第3回 | 5,000億円 | 0.9% | 45億円 |
第4回 | 7,500億円 | 0.9% | 67.5億円 |
第5回 | 7,500億円 | 1.0% | 75億円 |
合計 | 3兆円 | 約0.86% | 257.5億円 |
名古屋~品川の建設費は5兆5000億円だが、うち3兆円は政府の財政投融資ですでに借り入れ済みとなっている。
30年間は元本据え置きとされるので、0.6%~1.0%の金利だけ支払えばよく、年間の金利負担は257.7億円と予想される。
2019年3月期のJR東海の連結決算では経常利益6,326億円、当期利益4,387億円となっている。
これは、財政投融資の金利257.5億円を支払った後の数字であり、JR東海にとってリアニ工事の遅れは、経営的には何も問題はないことが分かる。
むしろ、リニアが開通すれば、2,000億円の減収(当ブログ試算)になるので、JR東海にとってはリニア開通が遅れた方が好都合と言えるかもしれない。
個人的な予想では、リニア開通(品川~名古屋)は、2030年くらいになるのではないか?品川~大阪はさらに遅れて、2040年くらいかもしれない。
リニアなんてJR東海が利益を独占するための「仕掛け」に過ぎず、日本全体を考えると、デメリットの方が大きい。
例えば、新幹線運賃を3,000円~4,000円値下げした方が、経済効果は高い。
JR東海を分割しJR東西で吸収、JR北海道はJR東が吸収、JR九州とJR四国はJR西が吸収した方が日本全体にメリットがある。