
大阪府堺市で、南海高野線「浅香山駅~堺東駅」間の連続立体交差事業が進められています。
この事業は、南海高野線の約3.2kmを高架化し、区間内にある10カ所の踏切を除去する大規模な鉄道立体化事業です。
さらに、側道や駅前線、交通広場などの道路整備も一体的に進めることで、安全で円滑な交通を確保するとともに、堺東駅を中心とした中心市街地の活性化につなげる計画です。
2024年度には堺東駅の仮設工事に着手しており、今後、2027年に鉄道工事へ着手、2030年度に高架工事に着手し、2040年度の完成を目指します。

当ブログ作成(非公式)
堺市と南海電気鉄道は、2023年10月31日に南海高野線連続立体交差事業について、工事の役割分担や事業費負担などに関する基本協定を締結しました。
事業区間は、南海高野線の浅香山駅付近から堺東駅付近までの約3.2kmです。
事業主体は堺市で、鉄道工事は南海電気鉄道が担当します。
高架化によって、浅香山駅と堺東駅の2駅が連続立体交差化され、10カ所の踏切が除去される予定です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名称 | 南海高野線連続立体交差事業 |
| 事業区間 | 南海高野線「浅香山駅~堺東駅」 |
| 事業延長 | 約3.2km |
| 連続立体交差化される駅 | 浅香山駅・堺東駅 |
| 除去される踏切 | 10カ所 |
| 事業主体 | 堺市 |
| 鉄道工事 | 南海電気鉄道 |
| 概算事業費 | 約565億円 |
| 完成予定 | 2040年度 |
今回の事業では、区間によって異なる工法が採用されます。
堺東駅付近は「直上方式」
堺東駅付近の約1.3kmでは、現在の線路上空を利用して高架を建設する「直上方式」が採用されます。
現在の鉄道を運行しながら、その上部に高架構造物を建設する方式です。
堺東駅では駅の一部機能を移転するための準備工事も進められています。
過去記事によると、白鷺駅で進められている準備工事は2026年中の完了を目指しており、堺東駅でも準備工事が進められています。
順調に進めば、堺東駅では下りホームの改良工事などに移行する見通しです。
そして、2027年から堺東駅部を中心に鉄道工事へ着手する見込みです。
一方、浅香山駅付近の約1.7kmでは、現在の線路に隣接する土地を利用して仮線を設置する「仮線方式」が採用されます。
仮線に鉄道を切り替えたうえで、現在の線路跡地などを利用して高架化を進める工法です。
そのため、堺東駅付近と浅香山駅付近では、それぞれ異なる方法で高架化工事が進められることになります。
| 区間 | 延長 | 工法 |
|---|---|---|
| 堺東駅付近 | 約1.3km | 直上方式 |
| 浅香山駅付近 | 約1.7km | 仮線方式 |
| 合計 | 約3.2km |
これまで堺東駅の仮設工事など、鉄道工事に向けた準備が進められてきました。
今後の大きな節目となるのが2027年の鉄道工事着手です。
特に、直上方式を採用する堺東駅付近から工事が進められる見込みです。
また、2026年6月末時点での用地買収進捗率は、面積ベースで約25%とされています。
高架化工事そのものだけでなく、用地取得や駅施設の改良、仮線の整備などを段階的に進める必要があるため、完成までには長い期間を要します。
今回の事業では、鉄道の高架化と合わせて周辺道路の整備も行われます。
主な関連事業は以下の通りです。
| 関連事業 | 延長 |
|---|---|
| 付属街路 | 約4.8km |
| 浅香山駅前線 | 約0.1km |
| 浅香山駅前交通広場 | ― |
| 築港天美線 | 約0.3km |
鉄道と道路を一体的に整備することで、踏切による交通遮断を解消するだけでなく、沿線地域の道路ネットワーク改善も期待されます。
今回の事業で最も分かりやすい効果の一つが、10カ所の踏切がなくなることです。
踏切では、列車が通過するたびに自動車や歩行者が一時的に通行できなくなります。
高架化によって踏切そのものをなくすことで、
* 踏切待ち時間の解消
* 道路交通の円滑化
* 踏切事故のリスク低減
* 歩行者の安全性向上
などが期待できます。
また、鉄道によって分断されていた地域の交通環境が改善されることも大きなメリットです。
南海高野線の高架化で特に注目したいのが、堺東駅周辺のまちづくりです。
堺東駅は堺市の中心市街地に位置する主要駅であり、駅周辺には商業施設や行政機能などが集まっています。
今回の高架化では、鉄道だけでなく駅前線などの道路整備も行われるため、完成後には駅周辺の交通環境や街の回遊性が大きく変わる可能性があります。
鉄道高架化をきっかけに、
「踏切除去」→「道路整備」→「駅周辺の交通改善」→「中心市街地の活性化」
という流れが生まれることが期待されます。
事業は複数の工区に分けて施工される計画です。
現時点で示されている工区と施工者は以下の通りです。
| 工区 | 施工者 |
|---|---|
| 第一工区 | 奥村組・鴻池組・前田建設工業・熊谷組JV |
| 第二工区 | 大成建設・戸田建設・森本組・竹中土木JV |
| 第三工区 | 大林組・南海辰村建設・西松建設・淺沼組・佐藤工業JV |
| 第四工区 | 鹿島・錢高組・フジタ・南海辰村建設JV |
また、詳細設計は中央復建コンサルタンツが担当しています。
南海高野線「浅香山駅~堺東駅」間の連続立体交差事業は、約3.2kmの鉄道を高架化する大型プロジェクトです。
今後のスケジュールは、
2024年度:堺東駅の仮設工事着手
↓
2027年:鉄道工事着手予定
↓
2030年度:高架工事着手予定
↓
2040年度:事業完成予定
という流れになります。
約15年以上にわたる長期事業となりますが、完成すれば10カ所の踏切が除去され、南海高野線沿線の交通環境が大きく改善されます。
さらに、付属街路や浅香山駅前線、駅前交通広場などの整備も行われるため、単なる「鉄道の高架化」にとどまらず、沿線の都市構造そのものを変える事業になると考えられます。
南海高野線の連続立体交差事業は、堺東駅周辺の将来を考えるうえでも重要なプロジェクトです。
特に堺東駅では、駅施設の改良と鉄道高架化、周辺道路整備が同時に進むことで、駅を中心とした新しい都市空間が形成される可能性があります。
2040年度の完成時には、現在とは大きく異なる堺東駅周辺の姿を見ることができるかもしれません。
今後は、2027年から始まる鉄道工事の進捗とともに、堺東駅周辺で新たな再開発や土地利用が進むのかにも注目したいところです。
※本記事の事業費・工事時期・施工体制などは、現時点で公表されている資料・報道をもとに整理しています。今後、事業計画や工事スケジュールが変更される可能性があります。
参照:建設工業新聞、堺市
