
2025年10月31日、日経平均株価の終値は 5万2,411円で、史上最高値を連日更新し、日本の株式市場は熱気に包まれました。
しかし、11月に入るとその勢いにやや陰りが見え始めます。
取引時間中(ザラ場)では、一時的に 5万円を割り込む場面も見られ、投資家の間では「天井を打ったのではないか」という声もちらほら聞かれるようになりました。
高値警戒感が広がる中で、気になるのは―「2026年の日経平均はどう動くのか?」という点です。
過去10年間のチャートを振り返ると、日経平均は全体的に右肩上がりの上昇基調を続けています。
ただし、細かく見ていくと、その上昇は一直線ではなく、「階段状」に段階を踏んで上がっているのが特徴です。
たとえば、
2023年5月~2025年6月(約2年間・25カ月)の間は、 おおむね「3万円~4万円」のレンジで推移しました。 上値の4万円は、3万円の水準から 約33%の上昇幅 に相当します。
この動きから考えると、次のステップとして想定できるのが、
2025年7月~2027年6月(約23カ月)の新しいレンジ相場です。
前回の「3万円→4万円」が33%上昇だったことを踏まえると、
今回は「4万円+30%=5.2万円」という計算が成り立ちます。
つまり、今後の2年間は
「4万円~5万2,000円」のレンジ相場になる可能性が高いと考えられます。
2025年11月時点で、日経平均株価の PER(株価収益率)は約19倍。長期的に見るとやや割高な水準にあります。
しかし、米国の代表指数である S&P500のPERは24倍前後 となっており、グローバルでは日経平均はまだ「相対的に割安」とも言えます。
つまり、世界的に株式市場全体が高値圏にある中で、日本株は依然として“買える市場”と見られているのです。
日経平均株価の1株当たり利益(EPS)が2027年以降毎年10%ずつ増加するとして試算してみます。
PER19倍の場合
| 年 | 1株当たり利益(EPS) | PER | 理論株価(円) |
|---|---|---|---|
| 2025 | 2,596円 | 19倍 | 49,300円(2025年10月) |
| 2026 | 2,933円(+13%) | 19倍 | 55,727円 |
| 2027 | 3,226円(+10%) | 19倍 | 61,294円 |
| 2028 | 3,549円(+10%) | 19倍 | 67,431円 |
| 2029 | 3,904円(+10%) | 19倍 | 74,176円 |
| 2030 | 4,294円(+10%) | 19倍 | 81,586円 |
PER15倍の場合
| 年 | 1株当たり利益(EPS) | PER | 理論株価(円) |
|---|---|---|---|
| 2025 | 2,596円 | 15倍 | 38,940円 |
| 2026 | 2,933円(+13%) | 15倍 | 43,995円 |
| 2027 | 3,226円(+10%) | 15倍 | 48,390円 |
| 2028 | 3,549円(+10%) | 15倍 | 52,235円 |
| 2029 | 3,904円(+10%) | 15倍 | 58,560円 |
| 2030 | 4,294円(+10%) | 15倍 | 64,410円 |
長年、日経平均株価の“適正水準”は PER(株価収益率)15倍 が目安とされてきました。
この基準で試算すると、2026年の日経平均株価は 約4万4,000円 が妥当な水準ということになります。
したがって、もし株価が4万4,000円を下回る場面があれば、「割安」と判断する投資家の買いが入りやすく、下値では一定のサポートが期待できるでしょう。
弱気シナリオ
ただし、相場は常に理論通りに動くとは限りません。
特に、下落局面では信用取引による 「投げ売り」 が発生しやすく、
売りが売りを呼ぶ形で、一時的に行き過ぎた下落(オーバーシュート)を起こすことがあります。
その場合、日経平均が 3万8,000円前後 まで下押しする可能性も否定できません。
心理的な節目を割り込むと、短期的には市場全体が不安定化しやすくなるため注意が必要です。
一方で、強気のシナリオではPERが再び 19倍程度 まで買われる展開も考えられます。
この場合、日経平均株価は 約5万5,700円 に達する計算です。
実際、2025年時点で市場は19倍前後の水準にあり、投資家のリスク許容度が高い状況が続けば、
2026年も再び高値圏を試す可能性は十分あります。
| シナリオ | PER | 想定株価レンジ |
|---|---|---|
| 標準シナリオ | 15〜17倍 | 44,000〜49,900円 |
| 高値予想 | 19倍 | 55,700円 |
| 安値予想 | 13倍 | 38,100円 |
現在の 日経平均株価5万円前後 という水準は、予想PER(株価収益率)で見ると 約17倍 に相当します。
これは歴史的に見てもやや高値圏にある水準であり、ここからさらに上値を追うには、企業収益の大幅な拡大が必要になります。
そのため、2026年に向けて新規に投資を始める場合は、年初に一括で投資するよりも、時間を分散して少しずつ投資するほうが安全でしょう。
「毎月一定額を積み立てる」ことで、相場の高低に左右されにくくなり、平均取得単価を抑えることができます。
特に、高値圏では焦って買うよりも、長期目線でコツコツ積み上げる投資戦略のほうが、
結果的にリスクを抑えながらリターンを狙える可能性が高いでしょう。
日経平均株価が5万円から4万円へと下落すれば、その下げ幅は20%に達する。
新NISAの年間投資枠は360万円なので、3年目となる2026年まで満額で積み立てた場合、投資額は合計1,080万円になる。仮に20%の下落に見舞われれば、評価損は約216万円という計算になります。
とはいえ、投資の世界ではこの程度の下落は決して珍しいものではない。実際、S&P500は2008年のリーマンショック時に53%、2020年のコロナショック時にも40%の下落を経験している。
それでも、インデックスファンド「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)円建て」の基準価額は過去5年間で約2.8倍に上昇しており、長期的には大きなリターンをもたらしています。
投資の世界では、20%程度の下落はごく普通に起こり得ることです。こうした値動きを前提にしながら、5年〜10年という長期的な視点で資産を育てていくのが、健全な資産形成の基本といえます。
もし20%程度の下落に耐えられないようであれば、残念ながら投資という世界にはあまり向いていないのかもしれません。市場は常に上下を繰り返すものです。
